Version 1.1 2009/12/22 特別研究員 福本拓 著

目次

1.脚注の挿入

論文の構成要素として,一番重要なのが本文であるのは言うまでもないですが,脚注も非常に重要な役割を担っています。

文献引用,データの出典,本文ではしきれない説明の追加・・・

学会誌への投稿などでも,脚注の使い方はかなり厳密に決まっています。つまり,脚注は論文を構成する欠かせない要素であるといえます。

個別の脚注の入れ方は,分野によって異なりますので,ここではスマートな脚注の「使い方」について説明をしていきます。

(1)Wordでの脚注の挿入方法

Wordでの脚注挿入には,脚注(ページ末脚注)文末脚注の二種類があります。

脚注の挿入方法は,両者とも共通しています。本文の脚注を入れたい部分にカーソルをあわせ,リボンの「参考資料」タブを開きます。「脚注の挿入」は脚注(ページ末脚注)に,「文末脚注の挿入」は文末脚注に対応しています。「脚注(ページ末脚注)」を例に説明すると,下図の「脚注の挿入」をクリックします。脚注を書くスペースが出てきますので,必要な内容や引用文献を記述します。




仮に脚注番号‘1’と‘2’の間に脚注を挿入すると,自動的に‘2’が‘3’変わります。

(2)脚注の表示方法

「脚注(ページ末脚注)」であれば,文書作成中にだいたい同じ画面に見えますが(ミニノートなどでは見えない場合もあります),「文末脚注」で脚注を挿入していくと,通常画面(「印刷レイアウト」)だと文章の前と末尾を‘行ったり来たり’しなくてはなりません。本文と脚注の対照関係を見ながら文書作成する方が,より効率的です。

■個別に注を表示する

文末脚注の例で説明しましょう。例えば10頁程度の文書があったとして,1頁目の注の内容を見たい場合,通常ですと10頁目までスクロールする必要があります。しかし,注を挿入した箇所(番号の前後)にカーソルをあわせ,リボンの「参考資料」→「脚注」の「注の表示」をクリックすれば,該当番号の注へ飛びます。

反対に,注の箇所でリボンの「参考資料」→「脚注」の「注の表示」をクリックすると,本文の脚注挿入箇所へと戻ります。

■画面を分割し,本文・脚注を表示する

本文の内容を確認しつつ,また,一つの注だけでなく前後の注を見渡して文章作成をする場合,個別の注を‘行ったり来たり’するのは不便です。本文と注が同一画面上で両方表示されるようにすると,よりスムーズな論文作成ができます。

この方法は,「アウトラインモード」「下書きモード」に切り替えてから行います。

「アウトラインモード」で説明をすると,表示を切り替えてから(リボンの「表示」→「文書の表示」の「アウトライン」),リボンの「参考資料」→「脚注」の「注の表示」をクリックするだけです。すると次のような画面になります。本文または注のどちらかの画面スクロールすると,対応する箇所が表示されるように他方の画面がスクロールします。

(3)脚注⇔文末脚注の変換と書式の変更

「(ページ末)脚注」「文末脚注」は,一括で相互変換が可能です。論文執筆時は「(ページ末)脚注」,提出時は「文末脚注」にするのが一般的ではないでしょうか。

仮に「(ページ末)脚注」で書き進めたとして,「文末脚注」に変更する方法を紹介します。「文末脚注」⇒「(ページ末)脚注」も同じ方法でできます。まず,リボンの「参考資料」の「脚注」の矢印(下図)をクリックします。

出てきたダイアログボックスで,「変換」をクリックし,「脚注を文末脚注に変換する」で「OK」をクリックします。あとは,元のダイアログボックスで「閉じる」をクリックすれば完了です。

≪POINT≫「書式」の「番号書式」を選択することで,注番号の書式を変更できます。通常,文末脚注はローマ数字になっていますので,ここで算用数字に変更しておくとよいでしょう。


2.相互参照(クロスリファレンス)の設定

論文の脚注の中で,「前掲注○○参照。」のような形で既述の脚注を参照する場合があります。やっかいなのは,論文編集の途中で注番号が増減した場合,○○の部分を都度修正しなければならないことです。相互参照(クロスリファレンス)を使えば,注番号がずれても,常に同じ箇所の脚注を参照することができます。

下の事例,注24の末尾に,「および,前掲15」という相互参照を挿入する方法を説明します。

リボンの「挿入」タブ,リンクの「相互参照」をクリックします。

出てきたダイアログボックスで,「参照する項目」を‘脚注’に(文末脚注であれば‘文末脚注’を選択),「相互参照の文字列」を‘脚注番号’とし,出てきたリストの中から目的の脚注(ここでは15)を選択します。そして,「挿入」をクリックします。



ただし,これだけでは,注の番号がずれても「前掲15」の表示は変わりません。注の番号が変わったあとで,フィールドの更新をする必要があります。これを忘れると,設定が無駄になってしまいますのでご注意を。

方法は,相互参照を挿入した箇所にカーソルをあわせて,「F9キー」を押します。注の番号が一つ前へずれた場合,下のように変更されます。


≪POINT≫もし,全ての相互参照を一括で変更したい場合は,脚注のどこかにカーソルをあわせ,「CTRLキー+A」のショートカットキー(すべて選択)を使い,脚注部分を全て選択した状態で「F9キー」を押せば,全ての相互参照が更新されます。

※図中で使用されたWord文書は,福本拓「1920年代から1950年代の大阪市における在日朝鮮人集住地の変遷」『人文地理』56巻2号,2004年,pp.154-169,の著者原稿です。