歴史文化学 – 京都大学大学院文学研究科・文学部 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp 研究科・学部・附属施設紹介、入試情報や研究プロジェクトの案内。 Tue, 18 Apr 2023 02:35:38 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 歴史文化論(協力講座) https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/departments/div_of_history/cooperative_professors/ Fri, 09 Apr 2010 12:51:08 +0000 http://bungaku.mmj.ne.jp/?p=1511 岩井 茂樹 教  授 中国近世・近代史 岡村 秀典 教  授 中国考古学 船山  徹 教  授 仏教思想史 池田  巧 教  授 漢藏語方言史 高木 博志 教  授 日本近代史 岩城 卓二 教 授 日本近世史 福家 崇洋 准教授 日本近代社会思想史

 

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日本史学専修 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/departments/div_of_history/japanese_history/ Sat, 27 Mar 2010 11:13:39 +0000 http://bungaku.mmj.ne.jp/?p=600 広く国際的な視野に立ち、日本史の統一的かつ総合的把握をめざしており、志望学生は、歴史学はもとより、隣接諸科学とその成果に関心をもつことが望まし い。実物資料による研究と教育も特色である。

吉川 真司 教 授 日本古代史
上島  享 教 授 日本中世史
谷川  穣 教 授 日本近代史
三宅 正浩 准教授 日本近世史
松井 直人 助 教 日本中世史

文学部受験生向けメッセージ

日本史学は、この日本列島に生まれ、時とともに移り変わってきた社会や文化を、総体として明らかにしようとする学問分野です。日本人の行動や思考には、時代・地域・個人によってさまざまなバリエーションが見られますが、長い歴史をもつ日本社会・日本文化が決定的な影響を与えていることは明らかです。その意味で、日本人にとって日本史を考えることは、自分自身、そして自分を直接成り立たせている外的世界を知るための営みにほかなりません。歴史基礎文化学系ではさまざまな地域の歴史を扱っていますが、日本史学のもつ独自性はまさにこの点にあると言えるでしょう。

もちろん日本史学専修でも多くの留学生を受け入れており、彼ら・彼女らにとって日本史は外国史であるわけですから、私たちは「日本人にとっての日本史」ばかりを研究しているのではありません。また、日本社会・日本文化は孤立して存在してきたのではなく、東洋・西洋の諸地域との関わりも重要な研究テーマになります。そうしたことを含めて、日本の大学で日本の歴史を研究する意味を、改めて考えてみてほしいのです。

私たちの日本史学専修は、日本史を学びたい人々にとって、かなり良い環境を提供していると思います。歴史学が空理空論に陥らないためには、実物・実地にしっかり根ざした研究が必要です。本専修では100年近くにわたって史料収集を続けてきました。今では5万点におよぶ実物史料を手に取ることができ、解読練習のために1000年前の本物の古文書を使うこともあります。きっと世界でもまれな、贅沢きわまる実習なのでしょう。また、京都という地の利も忘れることはできません。長らく日本の首都でありつづけた京都、その文化的伝統に包まれながら勉学し、必要とあらばすぐ重要な史跡・遺跡を見に行けること、これもまた研究上の大きな利点になっています。

くずし字を苦労して読み、日本人の書いた独特な漢文をきちんと解釈していくという、地味な勉学が私たちの日常生活です。しかし時おり、これまで誰も知らなかった過去の事実を発見することがあります。あなたが初めて見つける歴史の一かけら、それは日本史全体を書き替え、自分自身を知り直すための貴重な手がかりになるかもしれません。

大学院研究科受験生向けメッセージ

教 授 吉川 真司 日本古代史
教 授 上島  享 日本中世史
教 授 谷川  穣 日本近代史
准教授 三宅 正浩 日本近世史
助 教 松井 直人 日本中世史

日本史学専修では、幅広い分野のスタッフを揃え、日本史の統一的かつ総合的把握を目指して研究と教育を行っている。他学部や研究所など、学内諸機関から広く講師を迎えているのもそのような意図によるもので、単に日本史の枠内に閉じこもるのではなく、さらに広く国際的な視野から日本史をとらえる姿勢が必要である。院生諸君にはこの点をよく理解し、自身の専門分野を極めることは勿論、常に広い視野と関心を持って研究に取り組んでいただきたい。歴史学はもとより、国語・国文学、考古学、地理学、人類学、社会諸科学など隣接諸科学とその成果に関心の深いことが望ましい。

京大日本史の著しい特色として、実物史料による研究と教育を挙げることができる。研究室には、三浦周行教授以来、歴代にわたって収集された厖大な古文書・古記録等が収蔵されている。これらは一学部、一研究室の所蔵としては他に類を見ないもので、日頃から学部・大学院生の教育に用いられる一方、貴重な研究史料として広く学内外研究者の利用に供されている。歴史学の基礎は各時代固有の性格をもった文字史料の正確な読解力にある。院生諸君はこの恵まれた環境を生かし、演習以外にも日頃から古文書・古記録や影写本に親しみ、活字や写真によっては得られない歴史の手ざわりを実物史料によって感得し、それらに対する真の読解力を養っていただきたい。そのためには研究室が行なう史料調査や博物館の展示に積極的に参加する姿勢が必要である。

本研究室ではまた、院生諸君による各種研究会や夏の古文書研修合宿など、自主的研究活動が盛んに行われている。これらにも積極的に参加し、また自ら組織し、活発な議論を展開してほしい。広く学外の研究者・研究組織との交流も不可欠である。そのためには研究室の主催する学会組織である読史会への積極的な参加も望まれる。博士課程終了時の学位論文提出を目指して、在学中から積極的に学術雑誌等へ研究成果を発表していただきたい。修士論文の公表はその最低の要件であろう。入学時から高い志をもって研究生活に入られることを希望する。

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東洋史学専修 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/departments/div_of_history/oriental_history/ Sat, 27 Mar 2010 11:12:48 +0000 http://bungaku.mmj.ne.jp/?p=598 東洋史学は東アジアの歴史を研究する。なかでも中国史研究に重点をおき、厳密な史料読解を特色とする。志望学生は、幅広い視野を持つことが望ましい。本学 の東洋史関係史料は、日本でも有数の規模で研究環境は抜群である。

吉本 道雅 教 授 中国古代史
中砂 明徳 教 授 中国中世・近世史

文学部受験生向けメッセージ

私たちは普段から「東洋」という言葉をよく耳にします。しかしどこからどこまでが東洋なのかということを考えてみますと、事はそう簡単ではありません。日本は東洋でしょうか?文学部には東洋史とは別に日本史という専修があります。「西洋」以外はすべて東洋でしょうか?アフリカや南米は東洋とはいえません。「東洋」というのはこのように甚だ曖昧な概念です。

では我々は何を研究対象としているかといいますと、東アジア各国と諸民族・地域の歴史です。本専修ではなかでも中国史研究を得意とし、主として用いるのは漢文史料ですから、学部生の間は漢文の読解力をつける訓練を受けることになります。もちろん、研究対象によっては朝鮮語、モンゴル語、チベット語なども学ぶ必要があります。現在、教員は5名いますが、さらに総合人間学部、人文科学研究所の諸先生の協力を得て、豊富多彩な授業が行われています。東洋史関係の書籍も文学部、人文科学研究所に数多く収蔵されており、京都大学文学部は東洋史を学ぶ上で最高の環境にあるといえます。

大学院研究科受験生向けメッセージ

教授 吉本 道雅 中国古代史
教 授 中砂 明徳 中国中世史・近世史

東洋史学大講座は、東洋史学専修と西南アジア史学専修から構成される。そのうち、東洋史学専修の対象とする分野は、おもに中国・朝鮮・内陸アジア・東南アジアなどのアジア東方諸地域と、そこで展開する歴史現象の全般である。もちろん、東西交流史など、この枠を超えた分野も含まれる。現任のスタッフのほか、人文科学研究所から協力講座としての教員が加わり、さらに学内各部局や学外からの非常勤講師の協力もえて、多彩な専門教育が行われる。

広く歴史学は、おもに文献と文物(遺物・遺跡など)の二種の史料にもとづく。東洋史学では、従来から、その両方に依拠しつつも、より原典の文献史料に力点を置いた研究・教育を旨としている。対象とする地域・時間の長大さから、当然、扱う原典文献も多言語にわたるが、なかでもアジア東方で最大の文字史料群である漢語文献が中心となる。江戸期以来の「漢学」の伝統に、近代歴史学の方法論を合体させた学問体系には、巨大な蓄積と技術があり、その修得が、まず求められる。これに加えて、朝鮮語・モンゴル語・満州語・チベット語などの諸語文献についても、学習の機会が開かれている。徹底した文献学の基礎に立った原典史料からの歴史把握こそ、東洋史学の最大の特色である。

中国史・漢語文献も含めて、あくまで外国史・外国語であるから、それぞれの言語そのものについても修得を心掛けてほしい。諸外国からの留学生も多く、研究室内での国際交流も活発である。さらに、日本人大学院生については、みずからすすんで留学・現地滞在などをはかり、ボーダーレスとなった国際学界のなかで自立できる能力の養成が望まれる。また、博士後期課程に在籍するものは、日本人・外国人を問わず、学術誌などへの論文発表をはかるとともに、それらを踏まえた博士論文の作成をめざすよう努めてほしい。

京都大学は、東洋史学を学ぶのに最も恵まれた環境にある。文学部図書館をはじめ、人文科学研究所内に設置された漢字情報研究センターや文学部の附属施設であるユーラシア文化研究センター(羽田記念館)などが、世界でもまれな東洋史学関係文献の一大宝庫を形作っている。また、専門研究者が、さまざまな方面にわたって、厚い層を形成している。教室内でも、研修員・大学院生によるテーマごとの研究会が活発に行われている。なお、研究室には全国学会である東洋史研究会の事務局が置かれ、学術誌『東洋史研究』(季刊)を発刊するとともに、毎年1回、大会を催している。

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西南アジア史学専修 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/departments/div_of_history/west_asian_history/ Sat, 27 Mar 2010 11:12:05 +0000 http://bungaku.mmj.ne.jp/?p=596 古代から近代までの西アジア・中央アジアおよび広くイスラーム世界の歴史を研究領域とする。カリキュラム上の特色としては、アラビア語・ペルシア語・トルコ系諸語による史料原典の読解能力向上を重視している。

磯貝 健一 教 授 中央アジア史
岩本 佳子 准教授 オスマン朝史

文学部受験生向けメッセージ

1.対象地域──「西南アジア」とは?

この耳慣れない地域名称に戸惑いを覚える人が少なくないでしょう。「西南アジア」とは、東南アジアがアジア東南部を指す場合と比べると、より広くアジア西南部を指します。東はインド亜大陸西縁部やパミール高原から西はシナイ半島や小アジアのエーゲ海岸まで、北は旧ソ連のカザフ草原やカスピ海北岸に達する地域です。現在の国名で言うと、トルコ、アラブ諸国、イラン、アフガニスタン、旧ソ連の中央アジア・コーカサス諸国などが含まれます。したがって、「西南アジア」とは、主に、西アジアと旧ソ連中央アジアを合わせた地域と言い換えることができます。
しかし、学問領域の性質上、「西南アジア」以外でも歴史的に古代オリエント世界やイスラム世界に属した地域、つまり北アフリカ、スペイン、北インドなどはもちろんのこと、現代中国の新疆(中国領中央アジア)や東南アジア、さらには南ロシアまでもが対象となることがあります。

2.研究と授業カリキュラムの特色

本専修における最も主要な研究分野は、イスラム勃興期から近代までのイスラム世界の歴史です。これは一つの研究分野と呼ぶにはあまりに広く、各学生が掲げる研究テーマは、時代・地域・方向性のどれをとっても実に多様です。イスラム勃興以前の歴史では、古代オリエント史、特にシュメール研究が盛んです。研究スタイルの特色として確かなのは、文字史料に基づいた実証を重んじる文献史学であることです。この場合、研究対象とする地域で同時代に記された文字史料・文献(楔形文字やアラビア文字で記されたテキスト)が史料として重視され、そのテキストを読みこなす能力が要求されます。
したがって、本専修の授業カリキュラムでは、史料原典の読解能力向上に重点を置き、特にイスラム世界の三つの主要言語、すなわちアラビア語、ペルシア語、トルコ語について、それぞれ現代語文法から古典語で著された史料原典の読解まで学習できるようになっています。もっとも、外国語学習経験者なら誰でも知っているように、高度な読解能力を身につけるには、何よりもまず、学習者個人の姿勢や努力が問われることになります。イスラム世界の研究以外では、古代オリエント世界の研究に役立つ授業が開講されています。なお、卒業論文(学士論文)作成に向けた研究テーマの選択は、全く自由と言っていいほど、学生各自の判断に委ねられています。

3.卒業後の進路

1969年京都大学文学部に西南アジア史学講座が開設されて以来、最初期は1学年2~3名、 1980年頃からは1学年5~10名の学生が西南アジア史学を専攻し、卒業後は各界で活躍しています。業種はマスコミ・一般企業・教員・公務員など実に多様ですが、西南アジア史学と少しは関係のある就職先として、商社、および数は少ないのですが、外務省が挙げられます。おおむね学部での専攻と就職先の業種に関連性が弱いのは、本専修や京都大学文学部に限ったことではなく、日本の大学の文科系学部全般に見られる傾向でしょう。
このほか、学部卒業生の約3分の1は、大学院(主に本学本専修の修士課程)に進学しています。大学院生の進路は、修士課程修了後就職するケースと、さらに博士課程に進学するケースに分かれます。前者の就職先の業種は、中央官庁や地方自治体の公務員、高校等の教員、大学図書館等の図書館司書が多く、マスコミに就職した人もいます。後者の博士課程進学の場合は、博士号を取得して研究職(主に大学教員)に就くことを目指します。この場合、本専修のような専門分野では、博士課程在学中に2~3年の海外留学を経験するのが常識となっていて、長い道のりになることは確かです。

大学院研究科受験生向けメッセージ

教 授 磯貝 健一 中央アジア史

本専修では、西アジア・中央アジアなど、主にイスラム世界の歴史を扱う。

本専修に所属する大学院生は、時代的には、古代オリエント史、イスラム現代史、中東近代史のいずれの分野を専攻してもよい。ただし、現在は、イスラム時代史に関する講義が多く開講されている。

また地域的には、西アジア・中央アジアに限らず、イスラム諸王朝下のインドやスペインの歴史など、イスラム教徒が主役を演じた時代であれば、いずれの地域を専攻してもよい

演習は、アラビア語・ペルシア語・トルコ系諸語などのテキストを使って行われる。従って、大学院入学以前に、これらの言語のうち、最低1つ、望むらくは2つを習得しておく必要がある。未習得の言語については、入学後、別に開講されている初級の授業に出席して、それらを直ちに習得することが望ましい。

専修スタッフは、アラビア語・ペルシア語・トルコ系諸語などで書かれた原典史料によって歴史研究を行うことを基本的な姿勢とし、この研究方法を最も重視している。

また、研究を進めるためには、研究史の正確な把握も不可欠である。このため、大学院入学以前に、英独仏露など、できるだけ多くの言語の読解力を養っておくことが必要である。また、留学等の機会に備え、大学院在学中に、これらの言語の内、少なくとも1つについては、その会話能力をも見につけることが望ましい。

本専修がカヴァーする領域は、特にわが国では、なお未開拓な分野が多い。そのため、専修生は日頃から幅広い勉学を重ね、その蓄積の上に、広い視野から自らの研究テーマを選ぶことが必要である。そして、そのテーマについての研究方法を自ら工夫し、自らの歴史像を構築し、それを歴史の真実の姿に少しでも近づけることが望まれる。

関連施設として、上賀茂に羽田記念館(ユーラシア文化研究センター)がある。ここには、中央アジア、西アジア関係の文献が備えられ、講演会・研究会などが行われている。

また、本研究室には、関連学会である西南アジア研究会の事務局がおかれ、雑誌『西南アジア研究』が年2回刊行されている。

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西洋史学専修 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/departments/div_of_history/european_history/ Sat, 27 Mar 2010 11:10:46 +0000 http://bungaku.mmj.ne.jp/?p=594 古代ギリシア・ローマから現代にいたる西洋世界の歴史は、ヨーロッパという地域に根ざすと同時にグローバルな広がりをもっている。本専修では、その歴史的 発展の過程にさまざまな角度から光をあて、体系的に把握することをめざす。

小山  哲 教 授 ヨーロッパ近世史
金澤 周作 教 授 ヨーロッパ近代史
藤井 崇 准教授 ヘレニズム史、ローマ史、ギリシア語銘文学
安平 弦司 講 師 西洋近世史

文学部受験生向けメッセージ

「西洋史学」とは、どのような地域の歴史を研究する学問なのだろう? 高校で学んだ「世界史」の教科書のなかで「西洋史学」に含まれるのはどの部分なのだろう? 皆さんのなかには、こんな疑問をもっている人がいるかもしれません。

じつは、これはなかなか答えるのが難しい問題なのです。

常識的に考えるなら、西洋史学とは「西洋世界の歴史」であり、その舞台は「ヨーロッパとアメリカ」ということになるでしょう。しかし、問題はそれほど単純ではありません。たとえば、古代ローマ帝国の支配領域には北アフリカや中近東地域が含まれますし、近世以降のヨーロッパ諸国は世界各地に植民地をつくりました。ほかにも、オスマン帝国支配下のバルカン半島や、ユーラシアにまたがるロシアのことを想像してみれば、「ヨーロッパ」とはどこまでを指すのかはっきりしないことは十分にお分かりになると思います。「アメリカ」の範囲についても同じことがいえます。

ただし、いかに「西洋史学」の対象が明確でないといっても、「西洋」的な文化や文明によって、日本のように植民地支配を受けなかった地域でさえ、生活のスタイルや政治制度、思考様式にいたるまで深い影響を受けていることは否定しようもありません。西洋史学を学ぶとは、ヨーロッパやアメリカの歴史そのものを研究するだけでなく、わたしたち自身の暮らしや考え方のなかに溶け込んでいる「西洋」のもつ意味をあらためて問い直す作業でもあるのです。

西洋史学専修では、講義や演習をとおして、古代から近現代にいたる歴史上のさまざまな問題について学ぶことができます。どのような研究が行なわれているか関心のある方は、西洋史学専修のホームページ を覗いてみてくださるか、より詳しく「西洋史学」の現在を知りたい方は、本専修の教員が編集した下記の書物をお読みください。「西洋史学」を大学で学ぶことにまつわる素朴な疑問に答え、学生(学部卒業生や大学院修了生)自身の声を収録し、この学問の面白さを味わうことのできる本の紹介もしています。

服部良久・南川高志・小山哲・金澤周作編『人文学への接近法――西洋史を学ぶ』
(京都大学学術出版会、2010年)定価2000円(税別)

大学院研究科受験生向けメッセージ

教 授 小山  哲 西洋近世史
教 授 金澤 周作 西洋近代史
准教授 藤井 崇 ヘレニズム史、ローマ史、ギリシア語銘文学
講 師 安平 弦司 西洋近世史

本専修は、古代ギリシア・ローマから現代に至るまでの西洋世界の歴史的発展を、政治、経済、社会、思想、文化の諸側面にわたって体系的に把握することを目指して、研究と教育を行っている。現在の専任教員3人はそれぞれローマ史、ポーランド近世史、イギリス近代史を主たる研究対象としながら、上記の課題と取り組んでいる。また、大学院生は各自の問題関心にしたがって自主的にテーマを決めて研究を行っており、その対象領域は専任教員の専門分野をはるかに超えて極めて広い範囲にわたっている。

以上のように本専修では、大学院生に対して何よりもまず自主的・自発的な研究態度を求めており、どのようなテーマを選びそれをどのような方法で解明して行くかは院生の自由である。しかし、自己の専門に狭く閉じこもることは厳に戒めるべきであり、研究室での教員や他の院生との日常的な討論を通じて、また本専修が組織し運営する学会「西洋史読書会」をはじめ、学外の様々な学会、研究会などに積極的に参加することによって視野を広げ、自らの研究テーマの意味を問い直して行くことが望まれる。

研究発表や論文執筆の基本的な方法については大学院演習で習得していくことになるが、自己の研究テーマに関わる方法論の習得と練磨は主として院生自身で行わなければならない。その際希望しておきたいのは、次の諸点である。第1は、いうまでもないことながら、それぞれの分野での先行研究の成果を十分に咀嚼した上で問題を適切に設定し、基本的な史料を用いてそれを解明していかなければならないことである。第2に、西洋史学はきわめて学際的な学問であり、隣接諸科学との関係がたいへん深いので、西洋史学の研究者になろうとする者には、学際的な感性と関連諸学の素養が今後ますます要求されるだろう。第3に、西洋史学の研究の重要な手段である外国語能力の運用に努めることが肝要である。今日のわが国における西洋史研究のレベルは欧米学界と変わらぬものとなり、一次史料に基づく独創性の高い研究ばかりでなく、日本語に加えて外国語によるその成果の公表が要求されるようになっている。そのためにも、外国語の精密な読解力と合わせて、コミュニケーション能力がこれまで以上に望まれよう。

本専修では、専任教員や本専修を運営の基盤とする研究会が主催する学会、国際シンポジウム、外国人学者講演会などがしばしば開かれるため、大学院生がそうした機会を利用して学会活動に馴染み、また外国留学の準備を進めるなど、授業以外でも専門研究者への歩みを進める環境がある。修士課程を修了して就職する予定の大学院生にとっても、本格的な学会活動や国際的な学術コミュニケーションの場に加わることは、グローバルな活動のための重要な準備の機会となろう。

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考古学専修 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/departments/div_of_history/archeology/ Sat, 27 Mar 2010 11:08:58 +0000 http://bungaku.mmj.ne.jp/?p=592 モノをじっくりと観察し、その背後にある人間の行動を見極めるのが考古学の第一歩。多様な時代・地域の考古資料を扱う専修生との切磋琢磨でその感性を磨き つつ、各自の研究の深化を目指す。

吉井 秀夫 教 授 朝鮮考古学
下垣 仁志 教 授 日本考古学

文学部受験生向けメッセージ

残念ながら(?)京都大学の考古学担当教員は、インディー・ジョーンズやマスター・キートンのように、世界を股にかけてスリルに満ちた冒険の日々を送っているわけではありません。しかし考古学者は、人類の残した痕跡さえ残っていれば、地球上のどのような地域においても研究することが可能です。なぜなら、考古学とは、さまざまなモノ(考古資料)を通して、それを残した過去の人類の行動を復元しようとする学問だからです。

考古資料は、土の中に埋もれています。考古学者は、それを正確に掘り出して整理・報告する方法や技術を身につける必要があります。また考古資料は、いつ・どこで・だれが・どのように用いられたのか、といった来歴を、自ら語ることができません。考古学特有の方法論だけではなく、歴史学・民俗学・民族学・文化人類学・地理学・社会学など人文・社会科学の知識や、理化学的な分析成果までを駆使して、考古学者はモノに歴史を語らしめるのです。

京都大学の考古学研究室は、1916年に創設されて以来、日本ばかりではなく、中国・朝鮮などの東アジア諸地域を中心として世界各地をフィールドとする研究者を輩出してきました。皆さんが、私たち教員と一緒に考古資料を通した人類の過去への「冒険」に参加される日をお待ちしています。

最近の考古学研究室の活動についてはホームページ(考古学専修ホーム・ページ) をご覧ください。

大学院研究科受験生向けメッセージ

教 授 吉井 秀夫 朝鮮考古学
教 授 下垣 仁志 日本考古学
協力講座 人文科学研究所
教 授 岡村 秀典 中国考古学

本専修の基礎となった「考古学講座」は、1916(大正5)年に濱田耕作によって設置された。これは、わが国最初の考古学講座である。つづいて、梅原末治、有光教一、小林行雄、樋口隆康、小野山節の各教授のもとで、徹底した資料の観察とその分析を重視する学風が築かれ、深められてきた。1996(平成8)年度にそれまでの講座制は廃され、大学院を重点化した新制度のもとで現在に至っている。

考古学は、過去の人間が作り、使用した「物」を材料に、過去の人間の行動を研究する学問である。材料となる「物」は、主に発掘調査によって獲得する。考古学研究の基礎となる「物」から過去の人間の「行動」を復原する手法、発掘調査によって必要な情報を獲得する手法や知識などは、学部学生の間にある程度まで身についたものとして、大学院教育は進められる。

考古学の研究対象は、人間生活の痕跡さえあれば、時間的・空間的な限定はない。厳密な発掘調査によって、さまざまな情報をもつ「物」=データを集める。その「物」のあり方から、直接「物質文化」を認識し、背後にある「精神文化」を読みとり、それらの個々の研究成果の統合をめざす。一方、現代の考古学においては、例えば動植物遺体の遺伝子観察など、科学的でミクロな分析も、過去像の復原に大きく成果をもたらしつつある。考古学を学ぶ者は、自らその分析を実施する必要はない。だが、少なくとも、生物学・化学・物理学・地質学・土壌学など、自然科学分野の分析技術やその最新成果に深い関心を払う必要がある。資料の分析を自然科学者に託すとき、一体、何を求めるのかは考古学者の責任である。また、製作者・使用者の直接の証言を得られない考古資料を解釈する上で、歴史学・民俗学・民族学・文化人類学・地理学・社会学など、他の社会科学分野の知識もできるだけ身につけて欲しい。

本専修の大学院で考古学を学ぼうとする人は以下の点に留意されたい。
1. 大学院で考古学を学ぶことは、すでに研究者の末端に連なったという自覚を持って欲しい。他の研究者との協力、後輩の指導にも積極的になっていただきたい。それが自分の学業の成就とも 密接にかかわるはずである。
2. 「物」を観察し分析すると、人間の「行動」が見えてくる。考古学は「物」を資料とする科学 であると言いながら、その過程には鋭い感性や直感を必要とする。これには先天的な面もあるが、研究者との交流や、発掘現場などを通じて養いうる点も少なくない。機会を捉えては、積極的に研究会・発掘現地説明会など、さまざまな場に参加していただきたい。
3. 研究の基礎資料を得るために、他大学や行政機関・博物館・研究所などを訪問する機会はさらに増えるであろう。当然のことだが、その場合は、礼儀を尽くし、できるだけ迷惑のかからぬような配慮が必要である。研究者としての行動は、自分だけでなく、所属する組織や後輩・同僚の評価となることを忘れてはならない。

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