西洋史学専修ホームページ – 京都大学大学院文学研究科・文学部 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp 研究科・学部・附属施設紹介、入試情報や研究プロジェクトの案内。 Tue, 03 Oct 2023 08:27:54 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 西洋史セミナー&国際ワークショップ https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/european_history/klwah1/ Wed, 19 Mar 2014 06:51:40 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=22146 西洋史学専修はこのほど、ドイツのテュービンゲン大学(1477年創立)より古代史教授ミーシャ・マイヤー博士をお招きし、2度のセミナーと国際ワークショップを開催いたしました。「卓越した大学院拠点形成支援補助金」を受けておこなった活動です。

マイヤー教授は1971年の生まれで、後期ローマ帝国・初期ビザンツ帝国の歴史が第1の専門領域ですが、古代ギリシア史、とくにスパルタの歴史についても研究成果をあげています。

3月4日のセミナーでは、マイヤー教授から西洋史学専修の大学院生に、テュービンゲン大学に関する詳しい紹介がなされ、ドイツの大学での歴史学研究や大学の現状に関する質疑応答がなされました。3月5日のセミナーには西洋史学専修の大学院生に加えて、ギリシア史の専門研究者にも加わっていただき、博士の研究の歩みを聞いたのち、ギリシア史研究の今後について討論をしました。

 

3月8日に開催したワークショップでは、New Approaches to the Later Roman Empireをテーマに、ローマ帝国終焉期の研究に関する国際的な水準や動向を理解し新たな展望を開くことを目指しました。マイヤー教授と西洋史学専修博士後期課程の山下孝輔さんに加え、バーゼル大学講師ジョン・ヴァイスヴァイラー博士にも報告を依頼しました。ヴァイスヴァイラー博士はスイスとイギリスで学び、ケンブリッジ大学で博士号を取得された方で、京都大学白眉センター助教の藤井崇先生の招聘で来日されました。後期ローマ帝国史が専門分野です。マイヤー教授の報告には日本学術振興会特別研究員の南雲泰輔先生に、ヴァイスヴァイラー博士の報告には東京大学講師の田中創先生にコメントをお願いし、山下さんの報告にはマイヤー教授とヴァイスヴァイラー博士にコメントを依頼しました。

 

 

ワークショップは、冒頭、私、南川の挨拶と趣旨説明の後、藤井崇先生の司会進行でおこないました。後期ローマ帝国と初期ビザンツ帝国にかかわる専門的なワークショップで、英語を使用言語として実施しましたが、仙台や東京など、関西圏以外からも参加者があって、30名ほどの会合となり、会場とした小さな演習室では窮屈なほどでした。また、研究者だけでなく大学院生からも積極的な質問がたくさん出て、非常に意義深い会になりました。この成果は次年度にまとめて公表したいと考えています。参加くださった皆様に、主催者として御礼申し上げます。

2014年(平成26年) 3月

文責 南川高志(西洋史学専修教授)

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山下孝輔 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/european_history/eh-yamashita/ Wed, 27 Mar 2013 07:13:01 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=17484
―業績―
(*は査読有り)
(1) 論文
1) 「後期ローマ帝国における農民逃亡と法形成」『西洋古代史研究』11、2011年、39~61頁。
2) *「ローマ帝政前期における請願・回答制度と法の形成――農村社会の事例から――」『史林』96(6)、2013年、38~72頁。
3) A Reconsideration of the lex Flavia municipalis, The Proceedings of the Japanese-Korean Joint Conference on Western History in Kyoto, Kyoto, 2014, pp. 10-18.
4) Bona caduca attested in the Imperial Constitutions of the Later Roman Empire, in T. Minamikawa (ed.), New Approaches to the Later Roman Empire, Kyoto, 2015, pp. 71-78.
(2) 書評・その他
1) *(書評)「Serena Connolly, Lives behind the Laws : The World of the Codex Hermogenianus, 2010」『史林』95‐4、2012年、687~692頁。
2) (書評)「Michael Scott, Space and Society in the Greek and Roman Worlds; Cambridge University Press, Cambridge, 2013, Pp. xvii, 212.」『西洋古代史研究』14号、65~78頁、2014年。
3) (書評)「John Noël Dillon, The Justice of Constantine: Law, Communication, and Control; Ann Arbor, The University of Michigan Press, 2012, Pp. xiv+295.」『西洋古代史研究』14号、51~63頁、2014年。
4) (翻訳)西村昌洋監訳、増永理考、山下孝輔訳『古代ローマの庶民たち――歴史からこぼれ落ちた人々の生活』白水社、2015年。
5) 「古代末期の法史研究について : D. Wagschal, Law and Legality in the Greek East の見解をめぐって」『西洋古代史研究』15号、2015年、41∼45頁。
(3) 学会・研究会報告
1) 「ローマ帝国の農村社会における紛争解決と法の運用」属州研究会、同志社大学、2012年4月。
2) 「ローマ帝政前期の属州バエティカにおける都市法の作成――イルニ都市法に見られるアウグストゥス立法の歴史的意義を中心として――」第81回西洋史読書会大会、京都大学、2013年11月。
3) The Reconsideration of the lex Flavia municipalis, Japanese – Korean Joint Conference on Western History in Kyoto (Kyoto University, Japan), December, 2013.
4)  Conflicts over bona caduca Attested in Imperial Constitutions: The Role of Petitions in the Legislation of the Later Roman Empire (4th to 5th Centuries), Kyoto Lecture & Workshop of Ancient History: New Approaches to the Later Roman Empire (Kyoto, Japan), March, 2014.
5) The Petition and Response System, and Formation of Law in the Roman Empire, The Processes of Dying in the Ancient Greek World (Kyoto, Japan), September, 2014 (Poster presentation)
6) 「後期ローマ帝国における立法の変化――勅答(rescripta)と一般的法律(leges generales)――」第65回日本西洋史学会大会、富山大学、2015年5月。
7) 「2~3世紀のローマ帝国における勅答の効力――キリスト教文献における用例を手掛かりとして――」第14回古代史研究会大会、京都大学、2015年12月。

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西村昌洋 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/european_history/eh-nishimura/ Fri, 04 Nov 2011 11:19:26 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=9077 西洋古代史(ローマ)/帝政後期における政治的言説

―業績―
(*は査読有り)
(1) 論文・研究ノート・研究動向
1) 「テミスティオスにおける「哲学」と「哲学者」」『西洋古代史研究』(京都大学)8、2008年、1~22頁
2) *「テトラルキア時代ガリアにおける弁論家と皇帝―『ラテン語称賛演説集(Panegyrici Latini)』より―」『史林』92‐2、2009年、40~74頁
3) *「テミスティオスの「宗教寛容論」」『西洋史学』239、2010年(実際は2011年)、22~40頁
4) *「プルデンティウスの「スティリコ頌」――ウィクトリア女神祭壇撤去事件再考のために――」『西洋古典学研究』60、2012年、111~122頁
5) *「蛮族を愛し蛮族を容赦する――後期ローマ帝国における蛮族言説に関する一考察――」『西洋史学』250、2013年、1~19頁
6) ‘The Roman Past as Empire: Self-image and Ideology of the Fourth-century Roman Empire’, in T. Minamikawa (ed.), New Approaches to the Later Roman Empire, Kyoto University, 2015, pp.103-122
(2) 書評・紹介・その他
1) (書評)A. Smith (ed.), The Philosopher and Society in Late Antiquity: Essays in Honour of Peter Brown, The Classical Press of Wales, Swansea, 2005, pp.xiv+249 『西洋古代史研究』(京都大学)7、2007年、47~52頁
2) (書評)D. Slootjes, The Governor and his Subjects in the Later Roman Empire, Brill, Leiden/Boston, 2006, pp.xvii+204 『西洋古典学研究』58、2010年、152~154頁
3) (史料翻訳・解説)「オータンのエウメニウスによる学校再建を求める演説」『西洋古代史研究』(京都大学)10、2010年、75~95頁(Panegyrici Latini IX(V)の翻訳)
4) (翻訳・共訳)ピーター・サルウェイ編、南川高志監訳『オックスフォード ブリテン諸島の歴史1:ローマ帝国時代のブリテン島』慶應義塾大学出版会、2011年、第3章P・J・ケイシー「古代末期のブリテン島――四世紀以降」(101~138頁)の翻訳を担当(P. J. Casey, ‘Fourth Century Beyond’, in: Peter Salway (ed.), The Roman Era, Oxford Short History of British Isles, Oxford, 2002)
5) *(書評)長谷川宜之『ローマ帝国とアウグスティヌス――古代末期北アフリカ社会の司教――』(東北大学出版会、2009年、237+33頁)『西洋史学』238、2010年(実際は2011年)、69~71頁
6) (紹介)ベルナール・レミィ著(大清水裕訳)『ディオクレティアヌスと四帝統治』(白水社、2010年、154+vii頁)『史林』94‐3、2011年、163~164頁
7) (フォーラム・共著)南川高志編「古代史研究から見た西洋史学の将来――桜井万里子・師尾晶子編『古代地中海世界のダイナミズム』(山川出版社刊)を素材として――」『西洋史学』240、2010年(実際は2012年)、70~81頁(第4章「帝政ローマ研究の動向と日本における「古典古代」の今後」77~79頁の執筆を担当)
8) (史料翻訳・解説)「テミスティオス第5弁論:皇帝ヨウィアヌスに捧げるコンスル就任記念演説」Studia Classica(千葉大学)3、2012年、145~163頁
9) (翻訳・監訳)ロバート・クナップ著、西村昌洋監訳、増永理考・山下孝輔訳『古代ローマの庶民たち――歴史からこぼれ落ちた人々の生活』、白水社、2015年
10) (翻訳)ギイ・アシャール著、西村昌洋訳『古代ローマの女性たち』(文庫クセジュ)、白水社、2016年
(3) 学会・研究会報告
1) 「後期帝政ガリアにおける弁論家と皇帝―Panegyrici Latiniを中心に―」(第75回西洋史読書会大会:京都大学百周年時計台記念館、2007年11月3日)
2) 「テミスティオスの友と敵―四世紀のギリシア知識人とローマ帝国―」(第59回日本西洋史学会大会:専修大学、2009年6月14日)
3) 「テミスティオスにおける「宗教寛容論」」(第8回古代史研究会大会:京都大学、2009年12月13日)
4) *「ウィクトリア女神祭壇撤去事件再考」(第62回日本西洋古典学会大会:静岡大学、2011年6月4日)
5) 「帝国の過去と「ローマ人らしさ」」(第12回古代史研究会大会:京都大学、2013年12月22日)

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谷田利文 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/european_history/eh-tanida/ Fri, 04 Nov 2011 10:55:12 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=9041
―業績―
(1)  書評・紹介他
1) 紹介「エドガール・フォール著(渡辺恭彦訳)『チュルゴーの失脚――1776年5月12日のドラマ――』」『史林』91-3、2008年5月、156-157頁。
(2)  学会・研究会報告
1) 「18世紀後半フランスの穀物自由化論争におけるポリスの変容――ガリアーニ、ディドロを中心に――」近代社会史研究会第221回例会、2008年12月13日(京大会館)
2) 「1770年代フランスの穀物自由化論争における統治論の変容――ガリアーニを中心に」近代社会史研究会第230回例会、2010年4月24日(京大会館)
3) 「1770年代フランスの穀物取引論争における統治論の変容――ガリアーニを中心に」第78回西洋史読書会大会、2010年11月3日(京都大学時計台百周年記念館)
4) 「1770年代フランスの穀物取引論争における統治論の変容――ガリアーニを中心に」「啓蒙と経済学」研究会、2011年3月5日(キャンパスプラザ京都)
5) 「1770年代フランスにおける自由と統制――ガリアーニ、ネッケルを中心に」経済学史学会関西部会第161回例会、2011年12月10日(福井県立大学)
6) 「ネッケルの統治論――1770年代フランスにおける自由と統制」「野蛮と啓蒙」研究会、2012年1月28日(キャンパスプラザ京都)

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2023年度西洋史読書会大会 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/european_history/eh-dokusyokai-new/ Fri, 28 Oct 2011 10:39:51 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=8928 2023年度の読書会大会は、11月3日(金・祝)に、対面・遠隔のハイブリッド形式にて開催いたします。対面参加の会場は京都大学吉田キャンパス文学部校舎第1、第2講義室となります(詳しくは下記のプログラムをご覧ください)。多数のご参加を賜りますよう、お願い申し上げます。参加申し込みは10月15日(日)までにこちらからお願いいたします。
参加申し込みフォーム:https://forms.gle/3nw6gyq51NSUMJqx5

〈午 前 の 部〉
9:30 開会の辞 【  】内は司会者
9:40~10:25 ヘレニズム期ギリシアの紛争仲裁

――マイアンドロス河畔のマグネシアを中心に――

鳥 山 剛(広島大学)

【岸本廣大】

10:30~11:15 チェスター伯レナルフ 2 世(1129-1153)再考 中 村 敦 子(愛知学院大学)

【西岡健司】

11:20~12:05 「最も有益な魂の漁師」?

――14 世紀初頭コルトーナにおけるフランチェスコ会士・預言者・司牧革命――

白 川 太 郎(早稲田大学)

【佐藤公美】

〈午 後 の 部〉
13:35~14:20 ラテン帝国内のビザンツ系君侯領

――テオドロス・ブラナスのアドリアノープル国家――

根 津 由 喜 夫(金沢大学)

【櫻井康人】

14:25~15:10 成長する少年王エドワード 6 世のイングランド宮廷 新 田 さ な 子(京都大学)

【川分圭子】

15:15~16:00 18世紀フランス農村における酒類の流通

――ブルターニュ地方を事例として――

君 塚 弘 恭(早稲田大学)

【奥西孝至】

16:05~16:50 19世紀フランスにおける王室費と宮廷 上 垣 豊(龍谷大学)

【谷口良生】

16:55~17:40 国際人道活動のジレンマ

――第一次世界大戦後の赤十字国際委員会による東部戦線捕虜の帰還事業をとおして――

舘 葉 月(慶應義塾大学)

【金澤周作】

17:45 閉会の辞
18:00 晩餐会(文学部地下大会議室)
会費6000円(参加申し込み時に晩餐会への「ご出席」を選択の上、当日お支払いください)
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講義案内 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/european_history/eh-lecture2/ Fri, 28 Oct 2011 09:47:00 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=8911  

陽光に輝くステンドグラス(サント・シャペル)

講義案内(令和5年度)

後期 仏書講読(小山哲)
後期 特殊講義(伊藤順二)
後期 英書講読(下垣仁志)
後期 独書講読(小俣ラポー日登美)
前期 英書講読(藤田風花)
英書講読(宮崎涼子)
西洋史学実習(小山・金澤・安平)

後期 特殊講義(草生久嗣)

卒論演習(演習Ⅴ)
後期 特殊講義(安平弦司) 前・後期 特殊講義(金澤周作)
前・後期 露書講読(伊東順二)
前・後期 特殊講義(藤原辰史)

前・後期 特殊講義(佐藤公美)
大学院演習
前期 特殊講義(岸本廣太)
後期 特殊講義(桑山由文)
前・後期 特殊講義(竹下哲文)
後期 特殊講義(衣笠太郎)
前・後期 ポーランド書講読(小山哲)

後期 特殊講義(小関隆)
前・後期 イタリア書講読(村瀬有司)
後期 特殊講義(阿部俊大) 演習Ⅰ,II, ,

◇講義内容【講義】

◇講義内容【特殊講義】

  • 【前期】 伊藤順二  ロシア帝国末期のジョージア

<授業の概要・目的>

 19世紀後半から1905年までの帝政ロシア支配下の南コーカサス史を、ジョージア中心に概観する。
 ロシア人がチェチェン人やジョージア人に抱くイメージは、少なくとも19世紀以来現代に至るまで、「高貴な野蛮人」あるいは単に「野蛮人」である。南コーカサスは帝政ロシア初の本格的植民地であり、オスマン帝国との最前線の一つでもあった。住民に対する民族学的視線は帝国の統治政策に直結すると同時に、「高貴な野蛮人」への文学的憧憬をも産み出した。一方、「治安の悪さで悪名高い」南コーカサスは、傭兵の輸出地としても名高く、義賊伝説に溢れ、スターリン等の革命家を輩出した地でもあった。本講義では帝国とジョージア人の関わりを主軸に、19世紀後半におけるナショナリズムと社会主義の相関関係について考えたい。

 

  • 【後期】 伊藤順二  第一次世界大戦期の南コーカサス

<授業の概要・目的>

 南コーカサスは「東部戦線」と並んでロシア帝国の最前線だった。ジョージアの社会主義者やアルメニアやアゼルバイジャンの民族主義者のほとんどは、第一次世界大戦開戦に際し、帝国の戦争に全面協力した。帝国の中心における革命は彼らにとって予期せぬ事件だったが、さまざまな構想を一気に開花させる力となった。本講義では南コーカサスにおける戦争と革命の経緯をジョージア中心にたどりつつ、ロシア革命なるものの影響力を再考したい。

 

  • 【前期】 岸本廣大  「国際社会」としての古代ギリシア――ポリスや連邦の外交―― 

<授業の概要・目的>

 古代ギリシアは、ポリスをはじめ、多様な共同体が並存し、相互にやりとりする「国際社会」であった。本講義では、そのような理解を前提に、古代ギリシア世界の共同体の特徴と、それらによって展開された外交的やりとりについて学ぶ。具体的には、古典期からローマ時代まで(およそ前5世紀~紀元2世紀)のポリスや連邦を対象とし、条約、諸特権の付与、紛争解決、使節演説といったトピックごとに講義する。それらを通じて、アテナイやスパルタといった特定の共同体の歴史ではない、「国際社会」としての古代ギリシアの特質を、歴史学的に理解することが、本講義の目的となる。また、そうした古代ギリシアの特質が、近現代においてどのように受容されたのかについても本講義では扱いたい。それによって後世における歴史の利用や可変的な一面について理解し、歴史に対する批判的な見方を学ぶことも目的の一つとなる。

 

  • 【前期】 金澤周作  二つの世界大戦と国際人道支援――イギリスのNGOに注目して

<授業の概要・目的>

 イギリス史上に顕著な活発なチャリティ活動は、その範囲を国内に限ることなく、帝国全土および世界にまで広がっていた。この文脈を踏まえたうえで、本講義では二つの世界大戦をはさむ時期に実践された国際人道支援の具体的な諸相を、主として3つのイギリス系国際NGOに注目して描いていく。相互不信と敵意で引き裂かれた世界で、民間の「善意」がいかなる意味を持ち得たのかを検討する。国家や国民とは異なる主体に即して戦争と平和の歴史を考えたい。

 

  • 【後期】 金澤周作  ポスト・ナポレオン期の国際秩序とバーバリ諸国問題――イギリスのチャリティ団体に注目して

<授業の概要・目的>

 19世紀初頭に、長く続いた大西洋での黒人奴隷貿易と、地中海での「もうひとつの奴隷貿易」、すなわち北アフリカのバーバリ諸国による白人の虜囚化と身代金ビジネスは、ナポレオン戦争終結後に形成される新たな国際秩序において、原則として否定された。本講義では、あるイギリスのチャリティ財団が行った19世紀初頭の虜囚救出実践から、国際的な「もうひとつの奴隷貿易」禁止のプロセスと大西洋奴隷貿易の廃止、そして新たな国際秩序の形成のかかわりを究明する。

 

  • 【前・後期】 竹下哲文   ラテン語中級講読

<授業の概要・目的>

 ラテン語の初級文法を学んだ人を対象として,サッルスティウス『カティリーナの陰謀』(およびキケロー『カティリーナ弾劾演説』,『カエリウス弁護演説』)を教材に講読を行う.

 

  • 【前・後期】 藤原辰史  食と農の現代史

<授業の概要・目的>

 とりわけ20世紀以降、食と農はどのように変化を遂げてきたのか? ドイツと日本を中心に、食べものをめぐる制度や文化や技術の変遷を追う。この講義の目的は、現代史の知識を蓄えることではない。あるいは、現代史の概略をつかむことでもない。現代史を批判的に眺める目を獲得し、食と農の未来の構築するためのヒントを考えることである。

 

  • 【前期】 小関隆  第二次世界大戦と現代世界

<授業の概要・目的>

 いうまでもなく、第二次世界大戦はその後の現代世界を強く方向づける出来事であった。最新の研究水準に則してこの戦争を理解することは、現代世界に身を置き、それを乗り越えようとする人々にとって、基礎的な教養といってもよい。主としてヨーロッパ現代史の文脈に据えて、きわめて複合的な第二次世界大戦の全体像を把握し、このトラウマ的経験がその後の世界に与えた影響を考察することが授業の課題となる。なお、2023度の授業は2022年度の改訂版であり、重複する内容が多く含まれる。

 

  • 【後期】 小関隆  中立という選択肢:アイルランドの第二次世界大戦

<授業の概要・目的>

 前期の授業を受け、第二次世界大戦というグローバルな動乱の中で中立のスタンスをとることの意味を、アイルランド(厳密には北アイルランドを除くエール)の経験を通じて考える。この授業もまた2022年度の改訂版であり、重複する内容が多いが、2023年度は特に、エールの首相としてイギリスとアメリカから執拗な参戦圧力を受けながらも中立を堅持したエールの首相デ・ヴァレラに注目する。20世紀の戦争において中立はどれほど有効な選択肢たりうるか、授業の中核的な問いはこれである。

 

  • 【前期】 佐藤公美  中世ヨーロッパの政治反乱

<授業の概要・目的>

 本講義のテーマは、中世ヨーロッパの政治反乱をめぐる諸論点である。
 国家、国家的な諸権力、統治者、支配者に向けられる反乱は、政治行為であるとともに、人間集団の慣習的行為と世界観に根差した広義の文化である。それゆえ、社会史や文化史研究の主要研究テーマの一つであり、また中世の政治と国家をボトムアップの視点からとらえることを可能にしてくれる私たちに開かれた数少ない窓の一つでもある。
 本講義ではこのテーマに関わる研究史上の諸論点を概観し、課題と展望を考察する。

 

  • 【後期】 佐藤公美  中世イタリアの反乱の政治文化と社会

<授業の概要・目的>

 本講義のテーマは、中世後期イタリアの政治反乱である。
 中世のイタリアでは、都市コムーネとそこから展開する領域国家を舞台に、高度な政治文化が発達し、広範な層の人々が「政治」行為に関与した。本講義ではそのような政治文化の一環として、中世後期にイタリア半島の人々を動かした政治「反乱」を取り上げる。
 具体的には、成長する諸領域国家と教会の緊張関係の中で、14世紀の教会国家領で生じた反乱を、一つの国家を越えたネットワークと半島内諸国家関係に焦点を当てて検討する。そして成長する国家権力、諸国家の相互関係と同盟、聖俗の権力の再編の複雑な絡み合の中で、国家、君主、党派、戦争、共通善という諸問題を貫く中世の政治行為としての反乱がなぜ、いかにして成立したかを、イタリア半島の固有の文脈の中で理解した上で、中世ヨーロッパ政治史の中に位置付けることを目指す。

 

  • 【後期】 安平弦司  近世オランダにおけるカトリックとジャンセニスム論争

<授業の概要・目的>

 近世のオランダ共和国は、改革派(カルヴァン派)を唯一の公的教会とするプロテスタント国家であり、かつ多宗派共存社会でもあった。オランダのカトリック共同体は、差別的待遇を受けながらも17世紀の過程で再建されていったが、ジャンセニスム論争を経て、1723年にユトレヒト教会分裂を経験した。ジャンセニスムとは、近世カトリック教会内部で異端視された思想である。教会分裂により、オランダのカトリック共同体は、ローマ教皇に認可されるもプロテスタントのオランダ政府には否認されたローマ・カトリックと、教皇に否認されるもオランダ政府には認可された古カトリック(ジャンセニスト)に分裂し、両者の分断は現在も続いている。本講義では、ジャンセニスム論争を通じて、17・18世紀のオランダ共和国のカトリック共同体の復興と内部分裂を考察する。そうすることで、宗教改革後の近世ヨーロッパにおける複数宗派の共存・競合という問題を多角的に理解することを目的とする。

 

  • 【後期】 衣笠太郎  ドイツ=中東欧境界地域の歴史:シレジアを中心に

<授業の概要・目的>

 中世以降の「ドイツ」の歴史・文化・社会を、現在のドイツ領域のみならず、広く旧ドイツ領やドイツ語圏の広がりをも踏まえつつ多角的に概観する。本講義では、主にシレジア(シュレージエン/シロンスク)地方に着目して授業を進める。19世紀初頭のナポレオンによるヨーロッパ中央部の支配以来、いわゆるドイツ地域ではドイツ・ナショナリズムが興隆し、1848年革命を経て、1871年のドイツ帝国創設=統一国家成立へと至ることになる。しかし、この19世紀以降のドイツ統一国家の形成・展開過程では、多様な言語・文化・宗派・帰属意識を持つ人々が入り乱れることになったがために、そこに居住する人々をめぐって包摂と排除が繰り返された。本講義では、そうした「ドイツ」の多様性や包摂・排除の側面に光を当てながら、シレジア地方の歴史について見ていくこととする。

 

  • 【後期】 桑山由文   ローマ帝政前期のアテネとギリシア知識人

<授業の概要・目的>

 ローマ帝国は共和政期半ばの前2世紀以降,東方ギリシア文化圏への支配を拡大していった。本講義はとくにギリシア本土のアテネに焦点をあて,この都市がローマ帝政前期にいかなる変容を遂げていったのかを検討すると同時に,ギリシア文化圏出身の知識人がそうしたアテネ,さらにはローマ帝国中央とどのような関係を築いていたのかを検討する。

 

  • 【後期】 阿部俊大   「レコンキスタ」の展開とその歴史的影響ー中世盛期を中心にー

<授業の概要・目的>

 西欧世界は、異文化との多様な接触の中で自己を形成してきた。本講義では、中世西欧が最も長期間に渡り恒常的な異文化接触を経験した場である中世イベリア半島(スペイン・ポルトガル)を題材に、特に最も激しい形態で異文化接触が展開された中世盛期を中心に、多様な異文化接触の実情と、その政治・経済・社会・文化への影響を分析する。中世イベリアのキリスト教諸国の中で最も人口に膾炙している、カスティーリャ=レオン王国の事例を中心に取り上げ、ポルトガルやピレネー諸国の事例は適宜、比較対象として取り上げる。
中世西欧の国制とその発展過程について、日本では英仏独の事例がよく知られているが、他の地域の事例についての情報は乏しく、体系化もされていない。イベリア半島の事例を他の西欧諸国と比較しつつ学ぶことで、より複合的・多角的な視点から、中世西欧の国家や社会についての理解を深めることも可能となるであろう。

 

  • 【後期】 草生久嗣   西洋中世における異端問題とビザンツ帝国

<授業の概要・目的>

 西洋中世史上、11世紀より各地で展開した「中世異端」問題は、様々な論点を開示しつつ20世紀における西欧中世精神史を代表するトピックとなった。この成果に対し、正教会圏および東地中海世界での異端問題の諸相を取り込むことは、「中世異端」問題に新たな展望をひらき、西欧ローマ・カトリック世界における中世史理解を発展的に問い直す機会になると考えられる。
 13世紀にアルビジョワ十字軍および異端審問制度に帰結した「民衆異端 popular heresy (Moore)」および「宗教運動 Religioese Bewegungen (Grundmann)」現象について、その淵源あるいは先駆として位置付けられがちなビザンツ帝国史上の諸異端、とくに「中世のマニ教(Runciman, Stoyanov)」の見直しに取り組む。その際、同時代において中世異端概念自体が構築されていく様に着目する「異端を見る眼(異端学)」の分析を踏まえる。

 

◇講義内容【集中講義】

本年度は開講されない。

◇講義内容【演習】

  • 演習Ⅰ  西洋古代史演習 (藤井崇)

<授業の概要・目的>

 この授業は、ギリシア・ローマ史を中心とする西洋古代史の研究を本格的におこなう能力を養成することを目的とする。主に外国語で書かれた一次史料ならびに二次文献を分析することで、基本的な歴史的事象やこれまでに学界で議論されてきた代表的論点を学び、自身で歴史学的課題を設定し、それを解決する能力を涵養する。また、研究の成果を口頭・文書で論理的に表現し、他の研究者と意義あるディスカッションをおこなう技能の獲得も目指す。一部を同時双方向型メディア授業とし、多様な素材を通じて西洋古代史をより深く理解することも目的の一部とする。

 

  • 演習Ⅰ  西洋中世史演習 (佐藤公美)

<授業の概要・目的>

 本演習では、ヨーロッパ史に関係する欧米の相対的に新しい英語研究文献を読解し議論する。これにより英語で専門研究文献を精読する力を養うとともに、現在の歴史学方法論、解釈理論、史料論、および研究上の諸論点を学び、理解を深め、ヨーロッパ史についての基本的な知識を身に着ける。本演習では中世史を中心に扱うが、テキストの一部は近世も対象としてる。
 今回のテーマは中・近世における「領土territory」である。
 「領土」とは何だろうか。歴史学のみならず、広く人文諸科学において「領土」は近代主権国家論の中核をなす。近年の前近代史研究は「領土」に対する排他的統治権を行使する主権国家概念を、前近代の現実に基づいて批判的に乗り越えてきた。「領土」は「西洋近代」の思考と行動の枠組みとと不可分に結びついているが故に、歴史学を越えて思想、文化、社会を扱う諸分野を横断する重要性を持つ。ゆえに、近代的「領土」観の相対化とともに、前近代の「領土」の現実と「領土」観を統合的に明らかにしてゆくことが、ヨーロッパ前近代史研究が知の枠組みの刷新に活かされるための重要な道の一つであると言える。
 今回の演習では、この問題に関する最新の研究成果に向き合い、歴史研究の思考力と知識と技術を磨きながら、参加者各自が新たなヨーロッパ史像を考えることを目指す。

 

  • 演習Ⅲ  西洋近世史演習 (小山哲・安平弦司)

<授業の概要・目的>

 近世のヨーロッパ史にかんする欧米の比較的新しい研究文献を読解し、また、個別の論点について討論することをつうじて、近世ヨーロッパにかんする基本的な知識を身につけると同時に、最近の研究動向や研究史上の争点についての理解を深めることを目指す。

 

  • 演習Ⅳ  西洋近代史演習 (金澤周作)

<授業の概要・目的>

 この演習では、西洋の近代(18世紀半~20世紀初頭)を主体的に探求するのに必要な作法を学ぶ。そのために、まとまった分量の欧米の研究文献を精読することを課す。


 

  • 演習Ⅴ  卒論演習 (小山・金澤・安平)

<授業の概要・目的>

 卒業論文の研究テーマについて、参加者が中間報告をおこない、教員3名と受講者の全員で討論する。研究報告と討論を通じて研究テーマに関する理解を深めるとともに、研究を進める上での問題点を認識し、卒業論文の完成度を高めることを目標とする。西洋史学専修4回生は必修。


 

  • 大学院演習 (小山・金澤・安平)

<授業の概要・目的>

この授業では、受講する大学院生が各自の専門研究の成果を発表し、授業に参加する院生・教員全体でその発表にかんして問題点を指摘し議論する。本演習をつうじて、受講者の大学院における研究の発展に資するとともに、西洋史上の様々な時代・地域にかかわる研究テーマ、研究の視角や手法、史料の特徴とその利用の方法などについて相互に理解を広め、また深める場とする。

 

◇講義内容【講読】

  • 【前・後期】英書講読 (下垣仁志)

<授業の概要・目的>

 考古学の射程を大幅に広めたことで名高いV・G・Childeの出世作にして最高傑作である『The Dawn of European Civilization』(6版)の精読をつうじて、①ヨーロッパ新石器時代の概要、②考古学の方法論、③本書が世界考古学および日本考古学におよぼした影響、などを習得する。テキストの輪読と内容についての解説および議論が、講読の基本的な枠組みとなる。

 

  • 【前・後期】独書講読 (小俣ラポー日登美)

<授業の概要・目的>

 学術的なドイツ語文献の読解・運用能力を高める目的で、ドイツ近世史をテーマとする研究テクストを購読する。いわゆる大航海時代以降、複数の世界が接続されたことでヨーロッパは様々な他者と邂逅した。このようなテーマに関しては、新世界やアジアに進出していった南欧諸国やフランドル地方についての研究が注目されがちであるが、実は直接の接触がほぼなかったヨーロッパ内陸のドイツ語圏にもその余波はあった。「アメリカ」はバロック期のドイツ語圏にどのような影響を与えたのか、そしてその「他者」認識は、ヨーロッパ内の「他者」(宗教的他者、イスラム教)の把握にどのように反映したのだろうか。この時代は、ドイツ語圏の歴史上、「他者」とのコンタクトが起こした戸惑いや違和感が、特に様々な表象として残された時代である。多様性が叫ばれる現代こそ、多様性が意識され始めた時代を振り返ることは意味があるだろう。
本講義では、これらの問題を扱う以下の三つのテクストの精読を行なっていく。

・Karl Kohut, Von der Weltkarte zum Kuriositaetenkabinett Amerika im deutschen Humanismus und Barock (1995)
・Dominik Sieber, Jesuitische Missionierung, priesterliche Liebe, sakramentale Magie (2005)
・Eckhard Leuschner, Das Bild des Feindes, Konstruktion von Antagonismen und Kulturtransfer im Zeitalter der Tuerkenkriege (2013)

出席者は日本語翻訳をあらかじめ各自用意し、割り当てられた担当部分については、学期中に必ず1度は授業中に発表する。その他の出席者も必ず予習をして臨み、意見・質問を出すことが望ましい。

 

  • 【前期】英書講読 (藤田風花)

<授業の概要・目的>

 本授業では、M. Mazower (2000),The Balkans: From the End of Byzantium to the Present Day, London: Weidenfeld & Nicolsonの一部を読む。本書は、暴力、野蛮、後進性といった否定的なイメージと結びつけられがちなバルカンという地域の視点から、近代ヨーロッパ史を捉えなおそうとするものである。著者は、宗教にもとづく帰属意識のあり方など、この地域に特有の近代国家形成の諸前提を示し、ヨーロッパの近代史についての西欧中心的な見方を批判する。本書の精読をつうじて、英語で書かれた研究文献の読解力を向上させるだけでなく、南東欧における近代国家の形成をめぐる諸問題や、そこから逆照射される西欧の諸問題についての理解を深めることが、本授業の目的である。
 
授業にさいして、予習は毎週必須である。また、毎回授業内に課題として和訳を提出してもらう予定である。

本授業は講読の授業であるが、読解するうえで必要と思われる背景知識についても、授業中に適宜解説する。

 

  • 【後期】英書講読 (宮崎涼子)

<授業の概要・目的>

 この授業では、次の本を講読する。
Morgan Pitelka and Alice Y.Tseng(eds.), Kyoto Visual Culture in the Early Edo and Meiji Periods: The arts of reinvention, New York, Routledge, 2016.

794年の平安遷都以来、京都は時代によりその存在意義を大きく変化させ、かなりの中断を経ながらも発展を続け、今日では「日本の真髄」としてのアイデンティティが構築されるに至っている。本書は、社会変革により政治的に疎外された二度の特定の時期(17世紀と19世紀後半)の京都の文化生産について、複数の研究者が様々な学問的観点から解釈を示すものである。
本書の精読を通じ、英語の学術文献を読解する能力はもちろん、日本近代文化史に関する基礎的知識や歴史研究の方法論的視座を獲得してもらうことが、本授業の目的である。

授業ではまずIntroductionを読み、その後は19世紀後半について扱ったPartⅡの各章を時間が許す限り読んでいく。授業内では、英書講読という本旨から外れない範囲で、テキストの背景的知識についても適宜確認する時間を設ける。

 

  • 【前・後期】露書講読 (伊藤順二)

<授業の概要・目的>

 19世紀の思想家の文章の読解を通じて、ロシア語の一般的能力、および歴史的・批評的文書に対する読解力を向上させる。

 

  • 【前・後期】ポーランド書講読 (小山哲)

<授業の概要・目的>

 ポーランド語で書かれた歴史書を精読することをつうじて、ポーランド語の読解力の向上を図るとともに、ポーランドにおける歴史認識や歴史研究の現状について理解を深めることを目標とする。

 

  • 【前期】イタリア書書講読 (村瀬有司)

<授業の概要・目的>

 20世紀のイタリアを概観したSimona Colariziの“Storia del Novecento italiano”の第4章:La nascita della dittatura (1922-1929)の冒頭から読み始めます。
 イタリア人による歴史書は、日本人によって執筆されたものとは史観・価値観が異なるうえに、イタリア人の読者を想定したものであるためにこれを読むにあたって必要となる知識もまた異なります。このような原書の講読は、イタリア文化そのものにダイレクトに触れる機会を与えてくれるはずです。
 本書の文章は明晰なイタリア語散文であり、これを精読することによって伊語テクストの読解力を効率よく培うことができるでしょう。この読解力の養成が授業の主要な目的となります。 

 

  • 【後期】イタリア書講読 (村瀬有司)

<授業の概要・目的>

 ルイージ・サルヴァトレッリのイタリア史の概説書“Sommario della storia d’Italia”から、第9章を精読します。
 イタリア人による歴史書は、日本人によって執筆されたものとは史観・価値観が異なるうえ、イタリア人の読者を想定したものであるためにこれを読むにあたって必要となる知識もまた異なります。このような原書の講読は、イタリア文化そのものにダイレクトに触れる機会を与えてくれるはずです。
 また著者サルヴァトレッリの文章はオーソドックスなイタリア語散文であり、これを精読することで伊語テクストの読解力を効率よく身につけることができます。この読解力の養成が授業の主要な目的となります。 

 

  • 【前・後期】仏書講読 (小山哲)

<授業の概要・目的>

 フランス語で書かれた歴史書を精読することをつうじて、フランス語の読解力の向上を図るとともに、歴史研究にかかわる理論、概念、研究方法についての理解を深めることを目標とする。

 

◇講義内容【実習】

 

  • 西洋史学実習

<授業の概要・目的>

 この授業は、学生が西洋史の卒業論文を作成するために必要となる研究能力を、知識と技術の両面から身につけることを目的に開講する。具体的な史料(外国語)の分析法、研究情報の収集手順から西洋史研究の方法論や史学思想、さらには論文における議論の作法まで、具体的に学ぶ。

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院生紹介 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/european_history/%e9%99%a2%e7%94%9f%e7%b4%b9%e4%bb%8b/ Fri, 28 Oct 2011 07:28:01 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=8890
  • 博士後期課程
  • 修士課程
  • 博士後期課程を終えた方々の研究活動紹介(申し出分のみ)
  • ■博士後期課程(留学中を含む)

    氏名 学年 専門分野・研究テーマ
    吉田瞳 D3 中近世ドイツ史
    小山田真帆 D3 古代ギリシア史/ジェンダー・セクシュアリティ
    中辻柚珠 D3 近現代チェコ・ナショナリズム史
    石原香 D3 フランス革命史/感情史
    大野普希 D3 ローマ期のギリシア
    岡本幹生 D3 古代ローマ史
    林祐一郎 D3 近代ドイツ史・プロイセン史
    神津智史 D2 中近世プロイセン史
    新田さな子 D1 近世イングランド史

    ■修士課程

    氏名 学年 専門分野・研究テーマ
    新垣春佳 M2 近代オーストリア・ウィーン社会史
    川内康史 M2 近代オーストリア・ポーランド史
    竹下美伊 M2 近現代フランス史
    坂野水咲 M2 古代ローマ史
    間野夏未 M2 中世・十字軍史
    田中のえ M1 古代ローマ史
    藤本俊哉 M1 古代ローマ史・ヘレニズム史
    三谷優輝 M1 古代ローマ史

    ■博士後期課程を終えた方々の研究活動紹介(申し出分のみ)

     

    氏名 専門分野・研究テーマ
    西村昌洋 古代ローマ史/帝政後期における政治的言説
    谷田利文 近世フランス史/経済・社会思想史
    山下孝輔 古代ローマ史/ローマ帝国における法の形成
    増永理考 古代ローマ史/帝政期のギリシア都市における「文化資本」の運用
    元根範子 中世北欧史
    藤田風花 中近世東地中海史・キプロス史

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    博論・修論・卒論題目一覧 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/european_history/eh-title/ Fri, 28 Oct 2011 06:57:55 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=8881
  • 博士論文
  • 修士論文
  • 卒業論文
  • ■博士論文(課程博士)

    【令和3年度】

    浮網佳苗 近現代イギリスの消費文化と生活協同組合

    【平成31年度】

    谷口良生 議会共和政の動態的構造―フランス第三共和政前期(1870-1914年)における「議会政治の空間」-
    杉本陽奈子 紀元前4世紀アテナイをとりまく商業活動を支えたメカニズムに関する考察―海上交易と銀行業を中心に―
    増永理考 ローマ帝政前期小アジアにおける都市社会の研究―都市による文化資本運用をめぐって―

    【平成30年度】

    福元健之 ロシア領ポーランドにおける多民族社会の変容―地方医療の生成と分解(1899-1918年)―

    【平成27年度】

    岸本廣大 重層的な古代ギリシアの共同体に関する研究―コイノン・エトノス・ポリス―

    【平成25年度】

    藤井翔太 近・現代イングランド社会とプロ・フットボールのガバナンス―フットボール争議の分析を中心に―

    【平成24年度】

    西村昌洋 後期ローマ帝国における頌辞と政治文化―言説・統治の技法・ローマ理念―

    【平成23年度】

    南雲泰輔 ローマ帝国の東西分裂―ローマ帝国解体期の政治行政史的研究―

    【平成22年度】

    梶さやか 19世紀前半旧「共和国」領におけるリトアニア概念の変容―国家の記憶と共同体―
    福嶋千穂 近世ポーランド・リトアニア「共和国」のルテニアにみる地域と教会

    【平成21年度】

    山中聡 テルミドール9日以降の国家と宗教
    疋田隆康 古代ケルト文化とその表象に関する研究
    佐野光宜 古代ローマ社会の結節点―コレギアと見世物を通じた社会史的研究―
    高田良太 中世後期クレタの都市社会と民族集団

    【平成20年度】

    園屋心和 フランスのヨーロッパ支配とその影響下のドイツ(1794/1806-1814年)―近代化、ナショナリズム、世論―

    【平成19年度】

    佐藤公美 中世北イタリアの地域国家と社会―在地社会・党派・紛争と平和―

    【平成18年度】

    藤井真生 中世チェコの政治的統合 ―君主、貴族、共同体―
    図師宣忠 中世盛期都市トゥールーズにおける文書と権力―王権による南フランス統治の諸相―
    橋川裕之 コンスタンティノープル総主教アタナシオスと末期ビザンツ帝国の危機
    庄子大亮 古代ギリシアにおける神話・伝説の創造と機能

    【平成17年度】

    櫻井美幸 宗教改革期における都市と教会 ―都市ケルンを中心に―

    【平成14年度】

    青谷秀紀 中世低地地方の歴史記述 ―フランドルとブラーバンドにおけるその展開―
    金澤周作 近代英国におけるフィランスロピー
    竹中幸史 フランス革命期ルーアンのジャコバン=クラブ ―「政治的ソシアビリテ」と文化変容―
    藤内哲也 近世ヴェネツィアの権力構造 ―「柔らかな寡頭政」と「社会的上昇」をめぐって―

    【平成13年度】

    井上文則 軍人皇帝時代の研究 ―3世紀におけるローマ帝国の変容―
    伊藤順二 世紀転換期グルジアの農民運動
    櫻井康人 前期エルサレム王国の構造 ―ブルジョワ・騎士修道会・高位聖職者―

    【平成12年度】

    宮川 剛 近世ロンドンの教区と救貧

    【平成10年度】

    桑山由文 ローマ元首政における政治支配層の変容
    中村敦子 11・12世紀アングロ=ノルマン王国における貴族社会の研究

    【平成9年度】

    田中俊之 中世後期ドイツにおける都市統治理念と社会構造
    北村麻子 古典期アテナイにおけるフィリアと共同体 ―法廷弁論にみる親族・ヘタイレイア・国家―

    【平成8年度】

    尾崎秀夫 インノケンティウス4世における教皇論
    小林  功 中期ビザンツ帝国の社会と皇帝権力 ―9世紀を中心として―
    高田京比子 中世ヴェネツィアにおける家と親族 ―海洋型都市国家の構造・発展の諸相―

    ■修士論文(大学院入学を含む)

    【令和4年度】

    エドワード6世紀イングランドの宮廷と地方都市―異なる合意形成システムの平時における共存と危機における機能不全―
    10-11世紀イベリア半島の聖人伝に見るキリスト教徒のイスラーム認識
    前世紀転換期ハプスブルク帝国の空間的自己像―オーストリアにおける学校地理学雑誌を事例に―
    キケロの鳥卜の認識と利用―De Divinatione, 2.71-74―

    【令和3年度】

    プトレマイオス朝エジプトにおけるギリシア人のアイデンティティ―ゼノン文書を例に―
    16世紀前半フランスにおける福音主義者と宗教改革―ベルカンとルセルの行跡と死―
    リナルド・デッリ・アルビッツィに見る14世紀末-15世紀前半のフィレンツェ市民の人的紐帯―リミニのシニョーレ、カルロ・マラテスタとの関係を中心に―
    怪物を見る、語ることの変化と脱魔術の見世物―王政復古期イングランドにおける怪物の他者性の変容―

    【令和2年度】

    フランス総裁政府期の国民祭典と感情―トゥールーズを中心に―
    「高等法院のフロンド」(1648-9年)における言説の闘争―摂政政府と高等法院による応酬をとおして―
    ピロポイメン像の変遷に見る歴史認識の諸相―パウサニアスの『ギリシア案内記』を中心に―
    アウグストゥスのイメージとカエサルの記憶の関係にみるローマ皇帝政治の成立―ウェレイウス・パテルクルスの『歴史』の分析から―
    前世紀転換期ドイツにおける亡命者の末裔による歴史叙述―歴史家アンリ・トランとドイツ・ユグノー協会―

    【平成31年度】

    イギリスにおける自伝―自己語りの歴史―
    戦間期ポーランドにおけるファシズム運動の盛衰―活動家、地方、反ユダヤ主義の視点から―
    17世紀ブルガリアのカトリック・コミュニティ―オスマン期バルカンのカトリックと宣教の実態―

    【平成30年度】

    共和政中期の変容とコルネリウス・スキピオ家―ノビリタスの理念、民衆との関わりを主軸として-
    前4世紀アテナイにおける性規範と市民女性の社会的承認―法廷弁論の分析を中心に―
    世紀転換期プラハ美術界のナショナリズムへの応答―美と自由な表現を求めて―

    【平成29年度】

    世紀転換期ロンドンの東欧ユダヤ人移民をめぐって―ユダヤ人一時援助施設と救世軍-
    前1世紀ローマの東方での支配圏維持をめぐって―コンマゲネ王国を対象に―
    属州パンノニアの河川輸送―サヴォア川・ドラヴァ川流域における持続と変化―
    庭園革命論―近世ドイツにおける造園と自然観―
    ドイツ帝国成立前後の男声合唱運動―その理念と実体―
    前モンゴル期ルーシ国家におけるポロヴェツの表象と実態
    「境界域」の対抗宗教改革―ヴェネツィア領キプロスにおける正教徒とカトリック信徒―
    13、14世紀チェコにおけるユダヤ人の法的・社会的地位
    「周辺」の革命家カール・ラデックの思想と実践―第一次世界大戦前夜のドイツにおける外交評論とアジア情勢の認識を中心に―
    15世紀末から16世紀におけるシュタットファイファーの活動とその社会的意義―ニュルンベルクの事例を中心に―

    【平成28年度】

    17世紀ハンガリー・トランシルヴァニアの政治言説に見る伝統の継承と変容―ボチュカイ・イシュトヴァーン蜂起(1604-1606)を事例として―
    18世紀ポーランドにおける貴族女性と所領経営―アンナ・ヤブウォノフスカの指南書を手がかりに―

    【平成27年度】

    分領制期ノヴゴロド市民とルーシ諸公の関係
    ヘレニズム初期アテナイにおける民衆と政治―前307年復活民主政下の情勢から―
    スペンサー・ウィルキンソンとイギリス陸軍改革
    二重体制期オーストリアにおける初頭教育と教師―青年教師運動から見る「下からの教育史」―
    幸福の共同体―近代イギリスにおける協同組合運動の言語―
    「不満の冬」(1978-9年)―英国を震撼させたストライキ―

    【平成26年度】

    近代ドイツにおけるカトリシズムの研究―カトリックに禁じられていた事―
    絶対王政期フランスの王権と王立絵画彫刻アカデミー―建造物総監コルベールと在ローマ機関アカデミー・ド・フランスの事例から―
    フィレンツェの領域統治とres publica―1472年ヴォルテッラ反乱の事例―
    11~13世紀ノルウェーにおける王権の伸張と国王聖人崇敬の確立―オーラヴ2世を例に―

    【平成25年度】

    世紀転換期ロシア領ポーランドにおける労働者とナショナリズム
    日本イメージと近代ドイツ―ドイツ語メディアにおける日本イメージの受容と形成(1750-1850)
    ローマ元首政期小アジアにおける『見世物』と都市―アフロディシアスの事例から―
    オランダ共和国における宗派間関係と寛容の機能―1670年代ユトレヒトにおける公的領域を巡る闘争―
    イギリス領インドの統治と英語―英語教育導入期を中心に―
    コジモ1世紀(1537-1574)のフィレンツェと宗教的異端

    【平成24年度】

    啓蒙期スウェーデンの歴史叙述における国家観─スヴェン・ラーゲルブリンクの『スウェーデン王国史』を通じて
    オイキステスについて―古代ギリシアの植民活動にかんする一考察―
    カナダにおける世界大戦の表象の変遷
    紀元前4世紀アテナイの海上交易商人と顕彰慣行
    18世紀ベルリンにおけるボヘミア人移民と宗派問題―聖職者の論争を中心に―
    ローマ帝政前期における法の形成─農村社会の事例から─

    【平成23年度】

    フランス第三共和政における代議員議員選挙の研究―二つの投票形態と候補者選択の過程―
    14世紀前半のドイツ騎士団と騎士領―植民と領域政策―

    【平成22年度】

    アカイア連邦におけるエトノスとコイノン―政治組織の分析を通じて―
    イギリス対中通商秩序の形成―東アジア国際関係の一起源としての法・外交・行政に依るシステム―
    13世紀ドイツ騎士修道会の活動における聖地防衛の意味
    ジャン=ポール・マラーの革命思想と政治的実践―フランス革命期における「暴力」と政治の関係性―

    【平成21年度】

    ナポレオン戦争期の英仏海峡における密輸人の活動について
    プガチョフ反乱像の変容
    コンスタンティノープル陥落後のビザンティン・ヘレニズムの展開―総主教ゲナディオス2世の著作を中心にして―
    中世末期のドイツ北部における大学と社会

    【平成20年度】

    18世紀フランスの穀物自由化論争におけるポリスの変容―ガリアーニ、ディドロを中心に―
    「封建革命」期における貴族心性の一考察―フルク・ネルラと「怒り」の心性分析から―
    中世盛期フランドル都市アラスの発展

    【平成19年度】

    宗教改革初期のツヴィカウ
    オリエンス道長官フラウィウス・ルフィヌスの栄光と挫折―ローマ帝国の東西分裂期における官僚政治―
    D. V. コールンヘルトの寛容論―16世紀ネーデルラントにおける「良心の自由」をめぐって―
    近代メキシコにおける国民統合―インディオ知識人アルタミラーノの著作をめぐって―

    【平成18年度】

    ヨセフスを通して見る紀元1世紀のユダヤ人像
    Panegyrici Latini における弁論家と後期ローマ帝国―帝権との関わりと属州ガリア―
    9世紀前半のビザンツ帝国における聖職者・修道士・皇帝―コンスタンティノープル総主教権をめぐって―
    12世紀におけるビザンツ-ジェノヴァ同盟 ―コンスタンティノープル居留区民の軍役奉仕義務を介して―
    13世紀アイスランドの社会変化と農民・首領・王―ヨーロッパ辺境地域における権力関係の一考察―
    中世ロートリンゲンにおける地域意識と歴史意識
    S.A. ハルドゥーンの文化事業と近代上海

    【平成17年度】

    ローマ帝政初期アレクサンドリアの人々とその世界―紀元後38年の紛争とActa Alexandrinorum の再考―
    ルクセンブルク家時代のチェコにおける王権と貴族
    17世紀前半のブランデンブルクにおける宗教政策の変遷―「宗派体制化」論と二宗派体制―
    17-18世紀都市空間ロンドンにおける「新聞」へのまなざし
    世紀転換期イングランドにおけるプロ・フットボールの「ガバナンス」―財政規則論争におけるサッカー協会とフットボール・リーグの関係―

    【平成16年度】

    葬送活動からみたコレギア ―帝政前半期ローマにおける社会的結合関係の一断面―
    19世紀スペインにおける「他者の歴史」に関する一考察―フランシスコ・ピ・イ・マルガルの歴史認識について―

    【平成15年度】

    18世紀初頭フランス重商主義政策とギュイエンヌ商業会議所 ―政策の展開と商人たちの対応を中心に―

    【平成14年度】

    アカイメネス朝支配下小アジアにおけるギリシア化 ―小アジアにおける文化的ハイブリディティ―
    ポリュビオスとローマ共和政
    フランス革命期における政教分離体制の成立

    【平成13年度】

    ガロ=ローマ社会におけるケルトの伝統
    ナポレオン時代のポーランドとリトアニア

    【平成12年度】

    18世紀末ティロールにおける地域と国家 ―1790年の領邦議会を中心に―
    古代ギリシア周辺世界における英雄伝説の受容
    12-13世紀のフランス「王国」と教会
    12世紀におけるアングロ=ノルマン世界の拡大とスコットランド
    『ステイト』誌と南アフリカ人の創造

    【平成11年度】

    14世紀ケルン大司教領におけるアムト制の形成と展開 ―領域政策とアムトの抵当化の視点から―
    16世紀末ルテニアの教会合同 ―「ブレスト教会合同」の社会背景

    【平成10年度】

    ナポレオン支配のドイツ・ライン連邦における「近代化」改革への影響
    末期ビザンツ帝国におけるコンスタンティノープル総主教の教会政治 ―アトス山の管轄権移行(1312年)をめぐって―
    13世紀チェコにおける貴族の台頭

    【平成9年度】

    「ガリエヌス勅令」をめぐって ― 3世紀における騎士身分の興隆―
    中世後期ケルンにおける都市と教会 ―市参事会記録の分析を中心に―

    【平成7年度】

    1905年バクーの労働運動と民族衝突
    フランス革命期ルーアンの民衆協会
    近世初頭におけるヴェネツィアの市民階級 ―書記局官僚層を中心に―
    古代ギリシアにおける通過儀礼の社会的機能

    ■卒業論文(大学院入学を含む)

    【令和4年度】

    19世紀のフランスにおける香料製品の広告の分析
    ローマ元首政期の属州ガリアの統治―都市とエリートから見る属州の政治―
    ヴィクトリア時代におけるイギリスの労働者階級の飲酒について
    ビザンツ帝国の帝位継承における血統の意義
    古代末期における司教権力の拡大―キュリロスの事例を中心に―
    ローマ帝国辺境における軍のあり方―家畜の生産と供給の実態を分析して―
    前1世紀のシチリアの超ポリス的紐帯
    ローマ帝政前期オスティアの外国人
    ローマ帝国における「任意団体」とキリスト教共同体―1世紀東部属州の事例の比較から―
    後期ローマ帝国における官職売買合法化の背景について
    王政復古期ロンドンにおける演劇受容―演劇“復興”の観点から―
    17世紀前半におけるスペインの「衰退」―同時代人の認識を中心に―
    図像史料から見る、15-16世紀における魔女像の変化

    【令和3年度】

    カスティーリャ国王アルフォンソ6世とカトリックの関係について―典礼問題と「皇帝」の自称から考える―
    世紀転換期のガリツィアにおける政治の大衆化とポーランド農民党
    元首政初期のリウィア・ドルシッラの立場について
    12世紀初頭における第1回十字軍についての認識―参加者の年代記から探る―
    17世紀ボヘミアにおけるカトリック化の進展―宗派化的観点からの考察―
    食を通したローマ人のアイデンティティ変容の考察―特に帝政期における牛肉の取り扱いに注目して―
    14・15世紀ヴェネツィアにおける海事と造船慣行―『ロードス島のミカエルの書』と水中考古学による事例から―
    18世紀における英米関係の変容―密貿易に注目して―
    19世紀前半のニュージーランドにおける先住民と入植者の遭遇と社会的影響
    「英国文明の花」?―好本督と前世紀転換期イギリスの視覚障害者―

    【令和2年度】

    ヴァルド派に向けられた迫害と寛容さの構造―1488年ドーフィネにおける十字軍の前後を中心に―
    ポメリウム―都市ローマにおける聖なる境界の認識に関する考察―
    9、10世紀頃のイベリア半島におけるキリスト教徒のイスラーム観
    西欧における十一月蜂起以後のポーランド・イメージ―アイルランドとの相似言説を中心に―
    後期ローマ帝国におけるゲルマン人観をめぐって―スティリコを中心に―
    アウグストゥス治世における社会階層の再編と固定化
    12、13世紀のアイスランドにおけるアイデンティティ―スノッリ・ストゥルルソンを中心に―
    合衆国における市民権運動とジャズ―デューク・エリントンを例に―
    コンスタンティヌス帝の宗教政策―アレイオス派をめぐって―
    1370-1470年ハンザの一体化と限界―軍事同盟トホペザーテ―

    【平成31年度】

    カール5世団長期の金羊毛騎士団―騎士団規約の検討を通して―
    エリザベス・ヘイリクの思想における奴隷と動物の苦しみ―1820年代のパンフレットを中心に―
    4世紀アルメニアにおけるキリスト教会の活動と国内における意義―ネルセス1世の施策を中心に―
    紀元前4世紀アテナイの交易と社会的価値観
    コンスタンティヌス帝の宗教政策―アレイオス派をめぐって―
    近代転換期のクラウゼヴィッツ―1824年の「大破局時のプロイセンに関する記事」の再検討―

    【平成30年度】

    現代イギリスにおける帝国史叙述のあり方の変遷―1930, 70, 2010年代の歴史教科書を中心に―
    16・17世紀ネーデルラントにおける画家の地位―絵画取引を通じて―
    14世紀イングランドの修道院に見る肉食の実態―大勅書Summi Magistriの影響から―
    ローマ帝政期における「ギリシア」理念―パウサニアスの『ギリシア案内記』を中心に―
    第一次ユダヤ戦争におけるユダヤ人過激派
    16世紀前半におけるフランスと宗教改革―ルイ・ド・ベルカンLouis de Berquinの行跡と刑死―
    美術品コレクターとしてのロレンツォ・デ・メディチ像の再検討―メディチ家とトルナブオーニ家の比較から―
    1850年代におけるアイルランド人カトリックへの改宗運動―イングランド内の子供へ向けたプロパガンダとアイルランド教会伝道協会―
    1920年代前半フランスにおける男女中等教育の「同格化」―ベラール改革期の女性アグレジェ協会―
    16世紀末イングランドにおける使い魔信仰と悪魔学―ジョージ・ギフォードのA Dialogue Concerning Witches and Witchcraftsを中心に―
    中世ヴェネツィア女性の自由―13世紀の遺言書を通して―
    16世紀スペインにおけるローマの表象―スペイン王に関するローマの表象とコンキスタドールに関するローマの表象の比較検討―
    フランス総裁政府の目指した共和国―第一次総裁政府期の国民祭典から読み解く―
    『怪物』と怪物の捏造について―図像とヴンダーカンマーにみる異形の近世―
    近世フランスにおける国王の権力と国王顧問会議の機能について

    【平成29年度】

    中世後期フィレンツェにおける人の死による人的紐帯の変化
    近世スペインのピカロ表象
    元首制における法と裁判の機能―アウグストゥスの支配のしくみについて―
    プトレマイオス朝前期の王権とエジプト宗教―マアト概念を例に―
    戦間期フランス海洋植民地連盟の活動―機関紙Mer et Coloniesにみる「海の帝国プロパガンダ」―
    第二共和政期アルザスの「フランス併合二百周年記念祭」
    独立戦争後のアメリカ合衆国における「先祖の日」祝祭の演説の意義―ジョン・クインシー・アダムズの事例から―
    共和政末期ローマの宗教と祭り―前44年ルペルカリア祭の再解釈―
    古代ローマ人の死に対する考え方
    初期テューダー朝におけるプリヴィチェインバーの財政運営について―国王金庫を中心に―
    15世紀ジェノヴァにおける民間の紛争解決からみるパトロネイジ関係と嫁資―コロンボ家関連公証人文書から―
    9世紀フルダ大修道院において音楽がもつ意味
    宗教改革期ドイツにおける「宗派化」理論について
    前2世紀におけるスキピオ・アフリカヌスの台頭とローマの政治
    アルマダの海戦とエリザベス1世―ティルベリーでの演説と祈祷をもとに―
    日本の西洋史学と進化論
    19世紀ブルガリアにおける義賊ハイドゥクの実態と独立運動の関わり
    両大戦期ポーランドにおけるサナツィア体制とパラミリタリズム及び「野蛮化」テーゼとの関係性の再検証―軍政関係からのアプローチ―
    近世ブランデンブルク=プロイセンにおけるユグノー受け入れ政策―ポツダム勅令の発布と履行を巡って―

    【平成28年度】

    15世紀フィレンツェの外交―ロレンツォ・デ・メディチと共和国の外交の関係―
    19世紀イングランドにおける衣服と自意識―水運夫ジョゼフ・テリーの自伝から―
    近世フランス宮廷儀礼に関する考察
    15世紀フィレンツェにおける青少年兄弟会―その教育的機能を中心に―
    18世紀後半のプロイセンにおける教育と民衆啓蒙
    帝政初期ローマにおけるイシス信仰と皇帝の関係
    スキピオ・アエミリアヌスの政治手法―中期共和政ローマの政治構造分析の手がかりとして―
    第二帝政期ドイツの大学空間における学生決闘の位置付けの変化
    画家アルフォンス・ムハの民族観に見るチェコ人のナショナル・アイデンティティ―≪スラヴ叙事詩≫の再評価を通じて―
    近世アウクスブルクにおける売春の社会史的研究
    イギリスにおけるフランス革命―W.ゴドウィン思想の意義―
    前2世紀におけるスキピオ・アエミリアヌスの台頭とローマの政治
    18世紀フランスにおける自殺をめぐる議論

    【平成27年度】

    12世紀後半のデンマーク王によるバルト海西部地域の改宗
    19世紀末から20世紀初頭のイギリスにおける産業と教育―The Financial Timesから見える当時の人々の視点から―
    13世紀ボローニャにおけるポポロ体制下の兄弟会
    1889年ロンドン・ドック・ストライキ再考―労働者の視点から―
    ローマ帝国における商業の意義
    古典期アテナイにおける女子の通過儀礼とその機能―ブラウロンのアルクテイアについて―
    移民国家アメリカとインディアン
    13世紀の十字軍におけるシュタウフェン朝と教皇権
    15世紀後半におけるドイツ騎士修道会と対外関係
    戦間期におけるアルザスのユダヤ人―国境変動地域の人々のアイデンティティ―
    プトレマイオス朝末期の対ローマ関係
    19世紀フィンランドにおけるナショナリズム―トペリウスを中心に―
    時間概念がアイザック・ニュートンに及ぼした影響―ウールスソープからプリンシピアまで―
    近世イングランドにおける火薬陰謀事件の記念―名誉革命後の記念説教を中心に―
    19世紀後半のイギリスにおける伝染病法廃止・刑法改正法制定過程―議会議員の男性性を中心に―
    1780年代プロイセンにおける「啓蒙」概念をめぐる議論についての一考察―
    リテラシーからみる初期ヴァルドー派の異端化―
    古代ギリシアにおける戦没者記念に関する一考察―マラトンの戦いを例に―
    ヴェネツィア領キュプロスにおけるアイデンティティ―ギリシア正教・カトリック・オスマン帝国―
    ロシア・ボリシェヴィキ政権によるドイツ革命への介入―東部戦線における兵士・戦争捕虜工作を中心に―
    中世末期の楽師―移動・ネットワーク・社会的上昇―

    【平成26年度】

    18世紀イギリスにおけるグランド・ツアー―ジョージ・リトルトンとジェイムズ・バリーの書簡から―
    ローマ時代の教育におけるパエダゴーグスの影響
    中世英仏間におけるガスコーニュ問題の意義について
    古代オルガン―その受容と用途の変遷についての一考察―
    近代ドイツにおける演奏会と社会: 三月革命期のライプツィヒ・ゲヴァントハウス演奏会の活動を事例に
    第一次世界大戦期のイギリスにおける戦争協力と宣伝―プロパガンダ・ポスターを中心に―
    11世紀末におけるキエフ・ルーシの国際的位置付けに関する考察―エウプラクシャ・フセヴォロドヴナの国際結婚を中心に―
    中世後期ドイツにおけるユダヤ人迫害
    ローマ共和政末期における公職選挙
    ザクセン時代ポーランドにおける貴族女性と政治活動―エルジビエタ・ヘレナ・シェニャフスカを中心に―
    ローマ帝政期のパルミラにおける隊商交易の発展

    【平成25年度】

    中世中期ラングドック地方における「聖」「俗」の対立構造
    リソルジメント期イタリアにおける「カトリック」の役割
    12、13世紀前半ノヴゴロド公国の政治構造―公の選定・追放の過程を通じて―
    18世紀イギリスにおける都市の発展
    19世紀イギリス社会における治安維持と軍隊―アクトンホール炭鉱への軍事介入(1893年)を中心に―
    ハプスブルク帝国末期における学校とナショナリズム―学校の記憶からみたドイツ・ナショナリズム―
    富と幸福―近代イギリスの中世主義に関する一考察―
    18世紀ドイツにおける啓蒙主義と結社
    1882年排華移民法期アメリカ合衆国における中国人像―「共和国の末日」を通して―

    【平成24年度】

    古典期アテナイにおける陶片追放の機能とその変遷
    アルジェリア戦争におけるOASの意義―支持母体としてのピエ・ノワール、軍・治安機関―
    フランス王立絵画彫刻アカデミーの設立
    後期ローマ帝国における社会的上昇と教育の役割―リバニオスの書簡から―
    中世末期ヴェネツィアの工業都市としての一側面
    奇譚に見られる中世カーライルの人と森
    12~13世紀の文書史料に見られるノルウェー王オーラヴ二世への評価―史料比較から見る国王と聖人―
    冬戦争をめぐるソ連の対フィンランド政策

    【平成23年度】

    ローマ帝政期のキリスト教における女性―女性成人の研究を中心に―
    英領インド教育論争におけるアングリシストの性格―アングリシストの主張を手掛かりに―
    19世紀後半におけるイギリスの日本観―1880年代の『パンチ』誌を通じて―
    ローマ文化革命にみるアウグストゥスの権力の本質
    「アジアの脱魔術化」と日本―ドイツ啓蒙思想と日本人評価から―
    カディス議会の考察
    コシチューシコとアメリカ奴隷制度
    19-20世紀転換期ポーランドにおける労働運動とナショナリズム
    剣闘士競技の宗教的諸側面―元首政期における小アジアを中心に―
    マッツィーニとカルボネリーア―彼の執筆活動と、その作品の分析を中心に―
    17世紀後半オランダにおける宗教的寛容と国家統合
    古代ローマにおける戦車競走

    【平成22年度】

    ビスマルク時代後期のドイツ帝国における経済政策
    17世紀後半のスウェーデンにおける財政・軍事国家化について
    イギリス外交史における英仏協商の意義
    コジモ1世期(1537-1573)におけるフィレンツェの外交と宗教
    古典期アテナイの職人に関する一考察
    1300年ごろのスイス中央部における貴族層と渓谷共同体
    近世ブランデンブルク=プロイセンにおける宗教的寛容について―ベルリンのボヘミア人移民を中心に―
    後期ローマ帝国における農村統治政策

    【平成21年度】

    民衆運動としての1848年革命―パン屋、肉屋、税官吏、工場/工場主に対する暴動の意味をめぐって―
    19世紀フランスにおけるオートクチュールの誕生とその発展について
    19世紀スウェーデンにおける政治的スカンディナヴィア主義
    ローマ帝政期における解放奴隷の社会的状況―アウグスターレスを中心に―
    フランス革命期における恐怖政治とサン=ジュスト―サン=ジュストの政治思想と「新しい人間の創造」―
    近世イングランドにおける演劇とパトロネジに関する研究
    マリア・テレジア、ヨーゼフ2世期におけるハプスブルク君主国の財政軍事国家化
    ドイツ騎士修道会による植民事業について―ドイツ人村落とプロイセン人村落の比較から―
    中世アイルランドにおけるイングランド人とアイルランド人の関係について―1366年のキルケニー法を通しての考察―
    非キリスト教徒との関わりから考える初期十字軍の目的

    【平成20年度】

    19世紀中葉から20世紀初頭のフランスにおけるベルギー人移民
    古代ローマ社会における識字と教養
    Titus Livius, Ab Urbe Conditaにおける道徳的記述の考察
    古代ギリシアの『連邦』から見る「ポリス」の”autonomia”―ボイオティア連邦の分析による試み―
    属州モエシアにおけるローマ軍と社会変容
    「聖王ルイ」の誕生とカペー王権
    近代イギリスにおける「障害」の構築―「障害者の歴史」に向けて、歴史学の視点から―
    5世紀アイルランドにおける宗教―聖パトリックの宣教を中心に―
    独立前後のアメリカにおける西洋音楽の需要とその発展
    貿易監督官―アヘン戦争前英清交渉に於ける「外交官」―
    中世末期の人々の死に向かう態度―イギリスにおけるars moriendiから―
    中世東方植民に関する考察―シレジア・ボヘミアの事例から―
    聖ヨハネ騎士修道会の慈善活動と軍事活動

    【平成19年度】

    古代ギリシアにおける医療と宗教的観念―治癒神アスクレピオスを中心に―
    フランス革命期の世論・読者・新聞―『人民の友』と読者の集合心性―
    近代英仏海峡における密輸と交易―ナポレオンと密輸者の街1810~1840年を中心に―
    フェニキア人の植民活動の展開―ギリシア人との関係から―
    ロレンツォ・デ・メディチの芸術パトロネージについての考察
    帝政初期の属州民のローマ皇帝観―ギリシア人・パウサニアスの視点―
    18世紀イングランドにおける地方名望家の変容
    ギリシア独立戦争に対するイギリス国内の反応
    フランス絶対王政期における国王の公式の愛妄が果たした役割について
    ―ポンパドゥール侯爵夫人を中心とする考察―
    プガチョフ反乱における反乱参加者の動員について

    【平成18年度】

    共和制末期フィレンツェにおける装いと自己表現
    ニケア帝国知識人層の文化活動に現れる「ヘレニズム」と帝国理念―テオドロス二世の著作を手掛かりに―
    ローマ帝政期における図書館―皇帝との関わりと公共性を巡って―
    ルネサンス期フランスの王の葬儀―「王の二つの身体」とその儀礼化をめぐって―
    12~15世紀におけるユダヤ人迫害―儀礼殺人を巡って―
    ドイツ中世大学と諸権力―15世紀のロストック・グライフスヴァルト両大学から―
    10~12世紀のヨーロッパにおける紛争と紛争解決―霊的武器としてのクリュニー儀礼―
    中世後期ドイツにおける政治的集会の変化

    【平成17年度】

    前4世紀アテナイにおけるドギマシアの民主的意義
    プトレマイオス期末期エジプトの王と政治―プトレマイオス12世とクレオパトラ7世の統治―
    ローマ帝政初期におけるエリート教育
    ナチスの安楽死政策と反ユダヤ人政策に対するプロテスタント教会の抵抗運動
    中世イングランド長弓部隊の発展とその社会的背景
    ヴィクトリア朝の警察と社会
    異端カタリ派の教義と社会への影響
    宗教改革期における俗語聖歌と民衆
    「悲劇」の創造―古典期ギリシアとオレステス神話―
    ユリアヌス帝の意識の中のローマ皇帝像―その書簡と『ひげぎらい』を中心とした考察―
    18世紀末から19世紀初頭にかけてのパリの衣服流行と社会
    カロリング期の社会における市場の機能―北部フランス及び低地地方の事例―

    【平成16年度】

    「クニ」と地域―中世ロートリンゲンの考察から―
    近世ネーデルランデンにおけるカトリック教徒と「宗教的寛容」―ハールレムの「宗教平和」―
    18世紀後半から19世紀初頭のイギリス女性雑誌
    12世紀の知的探究心―アベラールという人文主義者―
    ドイツ用兵ランツクネヒトの意識と行動
    16世紀インド洋におけるポルトガル進出―東西交易史の中での位置づけ―
    中世西北フランスにおけるブールについて
    12、13世紀の騎士道について
    ユダヤ史におけるマカベア戦争ー
    ディオクレティアヌスの四分治制と後期ローマ帝国
    19世紀イギリスのボクシング
    テューダー朝期における宮廷と民衆の文化
    「自由国家」時代アイスランドにおける血讐と平和
    イタリア・ファシズムの成立と大衆心理
    近世イギリスにおける魔女
    司祭イダルゴの蜂起と褐色の聖母―メキシコ独立戦争における宗教的シンボルをめぐって―

    【平成15年度】

    第二期イコノクラスム(815-843)の修道士 ― ストゥディオスのテオドロスの活動を中心に ―
    ヴィシー時代のユダヤ人政策 ― ヴェル・ディヴ事件を中心に ―
    11、12世紀のクリュニー修道院と社会
    エリザベス朝時代における演劇と社会
    二重君主国期ハンガリー王国における初等教育と民族 ― ハンガリー化政策の実態を中心に ―
    清末上海の外国人と新聞業 ― 初期『申報』を巡る議論から ―
    マヌエル一世没後のビザンツ帝国 ― 摂政政権の「親ラテン政策」を通して ―
    アイルランドの1798年 ― 19世紀におけるその記憶 ―
    近世ブランデンブルクにおける亡命ユグノー
    メトロポリスのギュムナシオン ― ローマ元首政初期エジプトの自治都市化 ―
    18世紀イングランドにおけるプレスと読者たち ― 1745年ジャコバイトの反乱を通して ―
    19世紀イギリスにおけるフットボールの社会史 ― アソシエイション・フットボールの成立とその拡大の過程 ―
    14世紀ボヘミアにおけるチェコ人とドイツ人
    スウェーデンの強国時代 ― 教会の果たした役割の分析 ―
    剣闘士を見る眼差し ― 古代ローマにおける剣闘士競技 ―

    【平成14年度】

    ヘレニズム期アレクサンドリアに生きた人々 ―サラピス崇拝を通してみる都市の特殊性―
    19世紀中葉スペインの政治思想 ―Francesc Pi i Margall のFederalismo について―
    コメンスキーとボヘミア・モラヴィア兄弟団
    集う人びと ―collegiaを通してみる帝政前半期ローマの社会的結合―
    「学校闘争」から見たナチス期のカトリック教会
    中世都市における「音」の担い手たち ―帝国都市ニュルンベルクと楽師の関係―
    ユリウス・クラウディウス朝における皇帝家女性の台頭、その背景にあるもの
    宮廷と貴族からみる絶対主義 ―17、18世紀ハプスブルク帝国の場合―

    【平成13年度】

    ドイツ中・近世の都市における家族
    ミトリダテス戦争とローマのノビレス
    中世後期フィレンツェの都市指導層と教会
    19世紀イギリスにおける鉄道の誕生
    ドイツ中世都市における托鉢修道会 ―帝国都市チューリヒと司教都市ヴュルツブルクを中心に―
    中世ヴェネツィアにおける銀行業
    19世紀後半におけるアイルランド・ナショナリズム
    古代ローマ社会における女性の地位と教育

    【平成12年度】

    前4世紀アテナイの海上同盟とペルシア帝国
    17世紀イギリス財政機構の変容
    13世紀ウェールズの社会変革と独立の喪失
    リチャード1世とイングランド行政
    14世紀後半フィレンツェのアルティ政権
    19世紀初頭バイエルンにおける修道院の廃止
    ローマ共和政中期における市民と軍務
    中世後期ケルンのガッフェル体制とその変容
    立憲派司教グレゴワールとフランス革命像

    【平成11年度】

    第三共和政期ブルターニュの抵抗運動
    テンプル騎士修道会の廃絶について
    20世紀初頭イギリスの関税改革
    中世フランスにおける千年の変化
    19世紀サン=ドマングへの軍事介入とポーランド軍団
    ナポレオンの大陸封鎖令についての考察
    13世紀ボローニャの「タウン」と「ガウン」
    中世クレタ島におけるラテン=ギリシア関係
    ケルトイベリアの社会と文化―古代ケルト世界におけるケルトイベリアの位置づけ―
    グレゴリウス改革とクリュニー
    ルグドゥヌムにおけるキリスト教徒迫害の要因について―ローマ都市の社会的・宗教的背景から―
    古代末期における聖人伝とエヴェルジェティズム―『小メラニア伝』の場合―

    【平成10年度】

    17世紀ドイツにおける軍制と国制
    中世初期ライン地方における都市史の経済的基盤について
    カウニッツ外交の再検討
    オタワ体制とロンドン世界経済会議
    19世紀フィンランドの「国民国家」形成
    ジョン王治世におけるイングランド北部地域について
    11世紀スウェーデンにおけるキリスト教受容について
    19世紀末ケープ植民地におけるアフリカーナー
    16世紀スペインにおける異端審問の変質
    相続されるべき国家:国父称号とティベリウス帝

    【平成9年度】

    ローマ共和政末期における統治者と権力基盤
    11・12世紀トゥールーズにおける権力構造
    18~19世紀におけるイギリスの刑罰制度について
    ビザンツ皇帝マヌエル1世の対ハンガリー外交
    古代世界のギリシア人傭兵
    チャーティスト運動における新聞の意義
    古典期アテナイにおけるテセウス伝説形成の社会的背景
    第二次世界大戦後の英国社会の変化と教育
    シャルル7世の業績 ―封建国家から絶対主義国家へ―
    サン=バルテルミの虐殺に関する一考察

    【平成8年度】

    第二次世界大戦後のニューヨークにおけるプエルトリコ系移民について
    紀元前6世紀以降の古代アテーナイとその植民市の関わり
    フィリップ4世統治下フランスにおけるレジストの存在意義と中央集権への志向
    中世末期ウェールズのマーチにおける領主支配
    中世前期の貴族支配
    非マジャル人のマジャル化
    末期ビザンツ帝国におけるヘシカスト論争の歴史的意義について
    カレル4世のボヘミア統治における聖ヴァーツラフ崇拝の機能
    中世末期・近世初頭におけるケルンとドイツ・ハンザ
    インカ帝国末期の経済構造
    紀元前1世紀から後1世紀におけるローマのガリア支配と原住民の動向
    第二次世界大戦後のアメリカによる対日占領政策と対朝鮮半島政策の比較
    メアリ・ウルストンクラフトを生んだ社会的背景について
    ポーランドにおける宗教改革・カトリック対抗宗教改革の緊張状態と正教会への刺激

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    ]]> 紹介:人文学への接近法 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/european_history/eh-humanities/ Wed, 26 Oct 2011 08:10:39 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=8828

  • 紹介:『人文学への接近法―西洋史を学ぶ―』 (服部良久、南川高志、小山哲、金澤周作編、京都大学出版会、2010年)
  • 本書は京都大学西洋史研究室に所属する4教員が編者となって出版された、大学で西洋史を学ぶことの実際と意義について書かれた書物です。これまでも、「西洋史研究入門」と銘打たれた初学者向けの入門書や、「西洋史とは何か」をテーマとした啓蒙書は数多く出版されてきましたが、本書はそうした書物とは少々趣を異にしています。そこで本稿では、主に本書がターゲットにしていると思われる、これから「西洋史を学ぶ」ことを選択する可能性を秘めている高校生から大学の一・二回生向けに、本書の簡単なレビューを行ってみたいと思います。

    まず、簡単に本書の構成と内容を紹介します。カフェテリアでの学生の会話から始まる導入部では、大学の研究室という学問の最前線に身を置く研究者の視点から「西洋史を学ぶ」ことの意味を伝えることが本書の目的であると示されています。実際にあっても少しもおかしくない4人の学生と一人の男の会話の中には、今日の西洋史研究の現場で問われている問題がキーワード的にちりばめられているなど、本書の雰囲気を伝える意味では興味深い導入になっているといえます。

    第1部「西洋史を学ぶということ」においては、教養、そして研究としての西洋史学の意義が問われています。ここで注目すべきことは、「日本(の大学)において西洋史を学ぶこと」が強調されている点でしょう。大学における西洋史研究の実情を紹介するとともに、日本における西洋史研究の歴史を概観することで、グローバルなネットワークが拡大していく中で自らの立ち位置を問い直すために、西洋の歴史を考察することの重要性が指摘されています。つまり、日本人として「西洋史」を学ぶことは、異文化である西洋に対する思考法・スタンスを確立することにつながるということです。このように第一部においては、総合学問としての西洋史の魅力が語られていえるのです。学問の歴史を含めた「西洋史」自体の歴史を知ることは、実際に研究を進めていく上で非常に重要なことなのです。

    続く第2部「学んだことをどう生かすか」では、留学体験記や研究の現場を離れ社会人として活躍する卒業生のレポートなどを通じて、「西洋史を学ぶ」ことがキャリア形成に与える影響について述べられています。第1部が主に日本の大学を舞台にして「西洋史を学ぶ」ことについて書かれているのに対して、第2部では海外の大学や研究会というより専門性の高い場や、社会というより具体性を求められる場において、「西洋史を学んだ」ことが社会生活においていかなる意義をもつのかが問われています。ここでは個別のレポートの内容について細かく触れませんが、本書に掲載されたレポートは大学において「西洋史を学ぶ」ことを体験した人たちによる貴重な生の声であることは間違いありません。西洋史とキャリアという挑戦的なテーマを掲げた第2部は、読者が読み解くべき資料(史料)としての高い価値を持つ本書の眼目というべきパートであり、これから大学において「西洋史を学ぼう」とする学生にとって非常に有益な情報を与えてくれると思います。

    最後に第3部では「学ぶためのツール」として、コンピューターの活用法と文献(辞典・データベース含む)案内がなされています。第7章で時代別に紹介されたブックガイドにおいては、比較的新しい研究分野に関する著作もフォローされており、初学者は本書を参考にして自分の興味のある分野の著作を実際に読んでみるとよいでしょう。そして、更に多くのことを学びたいと感じたのであれば、第7章後半の調べ方に関するガイドを参考にしつつ自ら文献や資料を探索し、また第6章を参考にして、コンピューターで利用してネット上で利用できるデーターベースやオンライン・ジャーナルにアクセスしてみると良いでしょう。与えられた課題を受動的にこなしていくだけでなく、自ら積極的に文献や史料を探し当て、理解することこそが「西洋史を学ぶ」ことの醍醐味なのです。

    また本書の特色の一つとして、各部・章をつなぐコラムの存在をあげることができます。コラムでは、勉強を始める前の学生が抱いているであろう疑問を想定し、それに答えるというQ&A形式が採用されています。評者は実際に大学の一回生がガイダンスで研究室を訪問した時に応対をしてきた経験がありますが、その時下級生から尋ねられたことは、このコラムで取り上げられている質問と類似しているものも多く、もし西洋史を専攻することを迷っているのであれば、本書のコラムが疑問に答えてくれるかも知れません。また、第1部と第2部の間に挟まれた、架空の教員と学生によるメールのやり取りから成るエッセイにおいては、村上春樹の『1Q84』を枕にして、歴史学の功罪についても触れられています。この部分を読めば、これまでの「歴史」の中で「歴史学」が社会に対して好・悪両方の影響を与えてきたことを知った上で、「西洋史を学ぶ」ことを選択してほしいという編者の想いをくみ取ることができることでしょう。

    以上、「人文学への接近法―西洋史を学ぶ―」の内容について簡単に紹介してきました。紹介するなかでも触れてきましたが、本書はこれまで出版されてきた入門書や啓蒙書以上に、これから西洋史(歴史学・人文学)を学ぼうとする学生のことを強く意識して叙述された著作であるといえます。このレビューを読んで少しでも「西洋史を学ぶ」ことに興味を抱いたならば、本書をパラパラとでも読んでみると良いと思います。そして、本書に込められた西洋史に対する情熱に刺激され、大学において「西洋史を学ぶ」ことを選択する学生が増えるように、編者と同じく「西洋史を学ぶ」ことに魅せられた大学院生として願っています。

    2010年8月11日 文責: 藤井翔太(京都大学大学院文学研究科博士後期課程)

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    お知らせ https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/european_history/eh-information/ Wed, 26 Oct 2011 07:56:26 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=8820 ◆出版物

      ― 歴史としてのヨーロッパ・アイデンティティ/ヨーロッパにおける人文学知形成の歴史的構図研究会 ―

    人文知の新たな総合に向けて:21世紀COEプログラム「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」第一回報告書
    (京都大学大学院文学研究科、2003年)
    人文知の新たな総合に向けて:21世紀COEプログラム「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」第二回報告書
    (京都大学大学院文学研究科、2004年)
    『人文知の新たな総合に向けて:21世紀COEプログラム「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」第三回報告書』
    (京都大学大学院文学研究科、2005年)
    『人文知の新たな総合に向けて:21世紀COEプログラム「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」第四回報告書』
    (京都大学大学院文学研究科、2006年)
    『人文知の新たな総合に向けて:21世紀COEプログラム「グローバル化時代の多元的人文学の拠点形成」第五回報告書』
    (京都大学大学院文学研究科、2007年)
    Takashi Minamikawa (ed.), Material Culture, Mentality and Historical Identity in the Ancient World: Understanding the Celts, Greeks, Romans and the Modern Europeans (Proceeding of the First International Conference for the Study of European Identity from a Historical Perspective in September 2003, ISBN 4-9901929-0-7, Graduate School of Letters, Kyoto University, 2003)
    谷川稔編『歴史としてのヨーロッパ・アイデンティティ』(山川出版社、2003年)
    『近世中・東欧における地域とアイデンティティ』(京都大学大学院文学研究科西洋史研究室、2004年、同年3月開催の国際シンポジウム報告書)
    南川高志・小山哲編『近代ヨーロッパにおける人文主義の継承と変容―政治文化・古典研究・大学―』(京都大学大学院文学研究科西洋史研究室、2005年、同年3月開催の国際シンポジウム報告書)
    南川高志編『知と学びのヨーロッパ史―人文学・人文主義の歴史的展開―』(ミネルヴァ書房、2007年)
    服部良久編『中世ヨーロッパにおける「過去」の表象と「記憶」の伝承―歴史叙述・モニュメント・儀礼―』(京都大学大学院文学研究科西洋史研究室、2007年、2006年3月開催の国際セミナー報告書)

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