中国哲学史専修ホームページ – 京都大学大学院文学研究科・文学部 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp 研究科・学部・附属施設紹介、入試情報や研究プロジェクトの案内。 Thu, 06 Apr 2023 08:41:41 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 2023年度の授業 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/history_of_chinese_philosophy/2023%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%81%ae%e6%8e%88%e6%a5%ad/ Thu, 06 Apr 2023 08:41:41 +0000 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=65407 ◆講義◆

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]

「気」や「理」などの中国哲学の基本概念を講義し、中国哲学ならびに中国文化への理解を深める。

 

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]

中国の目録学について概要を示すことからはじめて、中国哲学史上の重要な書物について、経部と子部の書物を中心にそれぞれの内容について解説し、その書物が学問全体においてもつ位置についての知識を深める。

 

◆講読◆

池田恭哉(准教授)「「孟子」の思想を読む」

本授業の最大の目的は、漢文を読むための基礎的な知識を習得し、それらを活用して実際の漢文を読み、その読解力を身につけることである。そのため前期の中盤までは、漢文とその読み方について概説をする。
概説の後は、実際の漢文読解の段階に進む。今年度はテキストに「孟子」の代表的な注釈書である清・焦循『孟子正義』を用いる。孟子については性善説など高校の授業でその思想に触れたことのある人も多いだろう。本授業では、原典を自分で読むことを通じて、孟子の思想と向き合ってみたい。その際、清朝の焦循が著した孟子の代表的な注釈書である『孟子正義』に導かれつつ読む。中国古典の読解に欠かせない「注釈」の意義を実感し、またその形式に慣れてもらうためである。
この授業では、原典の読解を通して、色々な読解の可能性を出席者同士で討議することを特に重視する。漢文読解の基礎は前期を中心に概説し、また原典の読解も、履修者のペースに合わせて進めるので、漢文読解の経験、専攻分野を問わず、様々な興味関心から多くの学生の参加を期待する。

 

◆特殊講義◆

宇佐美文理(教授)「 中国文献学講義」(前期)

中国古典に関する文献にまつわるさまざまな知識について、目録学と版本学を中心に、その概要を講述する。

宇佐美文理(教授)「詩と絵画」(後期)

前近代の中国において、世界(風景)がどのように把握され、どのように表現されてきたかを、「詩」と「絵画」の両側面から考える。

池田恭哉(准教授)「北朝正史の儒林伝を読む」

南北朝時代、中国は南北に分かれ、その学問の在り方も様相を異にした部分が多い。中国の思想と言えば儒学をすぐに想起しようが、その根幹たる経書には歴代様々な注釈が施され、南朝と北朝とで、どの注釈書に依拠して各経書を読んだかが異なったことは、よく知られる。
そこで本講義では、北朝における儒学、経学の実態を探る第一歩として、北朝正史の儒林伝を読んでいく。具体的には『魏書』『北斉書』『周書』である。
北朝における学問の共有や伝承の様子を、時には南朝の動向をも視野に入れつつたどることで、北朝ではどのような学問を備えることが目指されたのかを、探っていく。また儒者に対して、社会がどのような役割を期待していたのかについても、考えていきたい。こうした営みは、南北朝時代に限らず、中国社会全般を考える上でのヒントになろう。
なおすでに令和2年度・3年度で『魏書』儒林伝を読み終え、今年度は『周書』儒林伝の途中からになる。ただし過去の内容は当然フォローするので、今年度からの受講も問題ない。分野を問わず、様々な学生の履修に期待したい。

 

船山徹(協力講座・人文科学研究所 教授)「五世紀中国仏教僧の戒律問答『五百問事経』から知られる戒律の実態」

5世紀前半中国仏教の出家者が『律』(出家集団の生活規則)をどのように理解していたか,どこに彼らの興味があったかを知るための資料として『五百問事(経)』がある。この文献は,中国人僧の質問とインド人僧の応答から成る問答集である。問答はどれも短く簡潔だが,その総数は多く,約300余りある。更に,『五百問事』には日本古写本と敦煌写本のみが現存し,名と体裁を変えた『目連問戒律中五百軽重事』という偽経として木版大蔵経に収められているものがよく知られている。
インド起源の『律(ヴィナヤ)』には,東アジアの生活実態と合わない規則も含まれるため,中国の仏教徒にとって,漢訳された『律』にはそのまま使って生活できない内容が含まれ,また,中国人が是非知りたいことであっても,文化の異なりがあるため,インドの『律』には明確な規定がない事項も多い。
この授業では5世紀中国の仏教の実態を知らせる資料として『五百問事』を精読し,内容を学ぶ。

 

倉本尚徳(協力講座・人文科学研究所 准教授)「中国の僧伝を読むーー『続高僧伝』講読」

中国初唐の道宣が撰した『続高僧伝』は、南北朝期から初唐にかけての中国仏教史を考える際に最も基本となる史料であり、日本仏教にも大きな影響を与えている。この書は、道宣自身が僧伝にかかわる関連史料の網羅的な収集と各地の実地踏査をもとに幾度も増補改訂を行ったものであり、同種の書に例をみない豊富な内容と版本ごとの大きな異なりを有している。特に日本の寺院が所蔵する古写本は、版本よりも以前の形態を保存しており、近年研究が進み、その増補過程が次第に明らかとなってきている。
本授業では、『続高僧伝』の各種版本・撰者道宣の伝記について概観した後、主要な僧の伝について、研究史を紹介し、複数の版本を比較検討し、同一人物についての他の史料と比較検討しながら読み進める。それによって、中国仏教史の理解を深め、僧伝の内容にいかに撰者の主観が大きく影響しているかを考えてみたい。関連する石刻資料があれば現物の写真・拓本なども紹介する。
今年度は昨年度に引き続き訳経篇巻に収録された人物を検討する。具体的には北朝後期から隋代にかけて生きた彦琮をとりあげる。彦琮は北斉の名門趙郡李氏の出身であり,早くから梵語仏典にも通じていた。翻訳事業への参与を通じて西域事情にも通じ,玄奘が弟子に『大唐西域記』を編纂させるにあたり彼の『西域伝』を参照させたとされる。近年,彦琮について,その翻訳論や国家論,文学など,多角的に検討した齊藤隆信『釈彦琮の研究』が上梓された。この書を参照しその内容を検討することも同時に行う。

 

塚本麿充(東京大学東洋文化研究所 教授)「中国美術の鑑識と歴史」 [集中講義]

宋代を中心に中国美術の鑑識論の発展を概説します。PPT画像を使って同時代の美術史の基礎的な知識を習得した後で、同時代の代表的な画史・画論をとりあげ、そのうちとくに鑑識(鑑定論)と制作、技法・材料論について考察していきます。近代の美術史において写真図版を比較する様式論のみならず、作品のもつコンテキストや物質性に注目し、図像と文献の両方から理解を深め、新しい角度から「美術」作品に触れることを目的とします。

 

◆演習◆

宇佐美文理(教授)「『困学紀聞注』精読」

王應麟『困学紀聞』ならびに翁元圻の注釈を精密に読むことによって、漢文読解力を高めるとともに、引用されている数々の文献にあたることによって、古典中国学に関する知識を深める。

 

池田恭哉(准教授)「阮元の文章を読む」

阮元(1764-1849)は言うまでもなく清朝考証学を代表する学者である。この授業では、彼の著作『ケン経室集』(ケン:研+手)の中から、経学を中心として思想に関わる内容の文章を選読する。文章のジャンルは序・論・跋・書など多岐にわたる。
多彩なテーマやジャンルの文章を読むことは、特定の分野に偏らない中国古典全般にわたる読解能力を高めるとともに、その考証の手法や表現の方法を学ぶことをも可能にするであろう。そして同時代の学者が、同じテーマに対して考察を展開していた場合、時に阮元を離れてでも、それについて検証していくので、清朝という時代の学的風潮も体感できる。
話題は経学を中心としつつ、中国の多様な時代、分野に及ぶことになる。また文章のジャンルも特定のものにこだわらない。そのため様々な専攻の学生の出席を期待する。

 

吉本道雅(協力講座 本研究科東洋史学専修 教授)「『春秋左伝正義』」

十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を輪読する。

 

古勝隆一(協力講座 人文科学研究所 准教授)「『論語義疏』講読」

この授業では、儒教文献『論語義疏』を講読する。その経文・何晏等集解・皇侃義疏、そして『経典釈文』(論語音義)を講読の対象とする。
テクストに正面から向かい合い、正確な理解を目指すのはもちろんだが、それをサポートする、書誌学的・校勘学的な知識もあわせて習得することを目標としている。
複数の写本の影印に基づき、子罕篇の詳細な校勘記を作成する。

 

福谷彬(協力講座 人間・環境学研究科 准教授)「朱子学の文献を精読する」

中国宋代の朱子学に関わる文献を精読することを通じて、史料を読解し、思想を深く理解するための能力を身に着ける。
朱子学は中国だけでなく、前近代の朝鮮や日本の社会にも大きな影響を与えた。しかし、朱子学を正しく理解するためには、中国の伝統的な経学の知識はもとより、哲学的思考も必要なため、独学は難しい。本授業では、基本的な参照文献・工具書を紹介しつつ、朱子学を深く理解するための素地を養って頂きたい。中国古典初心者の受講を歓迎するが、漢文を読む講義を受講した経験があることを前提としたい。

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2022年度の授業 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/history_of_chinese_philosophy/2022%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%81%ae%e6%8e%88%e6%a5%ad-2/ Thu, 23 Jun 2022 11:03:12 +0000 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=62231 ◆講義◆

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]

「気」や「理」などの中国哲学の基本概念を講義し、中国哲学ならびに中国文化への理解を深める。

 

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]

中国の目録学について概要を示すことからはじめて、中国哲学史上の重要な書物について、経部と子部の書物を中心にそれぞれの内容について解説し、その書物が学問全体においてもつ位置についての知識を深める。

 

◆講読◆

池田恭哉(准教授)『文選』の文章を読む(司馬遷による書簡「報任少卿書」)

漢文を読むための基礎的な知識を習得し、それらを活用して実際の漢文を読み、その読解力を身につけることを最大の目的とする。最初は漢文とその読み方について概説をし、またテキストとなる『文選』について紹介する(主として前期)。
その上で、実際の『文選』収録の文章として、司馬遷「報任少卿書(任少卿に報ずる書=書簡)」を精読する(主として前期後半~後期)。司馬遷は『史記』の著者として、名前を知っている人も多いであろう。また『文選』に附された唐の李善による注釈もあわせて読むことで、漢文読解における注釈の意義について考えてもらう。
この授業では、原典の読解を通して、色々な読解の可能性を出席者同士で討議することを特に重視する。漢文読解の基礎は前期を中心に概説し、また原典の読解も、履修者のペースに合わせて進めるので、分野を問わず様々な興味関心から、多くの学生の参加を期待する。

 

◆特殊講義◆

池田恭哉(准教授)北朝正史の儒林伝を読む

南北朝時代、中国は南北に分かれ、その学問の在り方も様相を異にした部分が多い。中国の思想と言えば儒学をすぐに想起しようが、その根幹たる経書には歴代様々な注釈が施され、南朝と北朝とで、どの注釈書に依拠して各経書を読んだかが異なったことは、よく知られる。
そこで本講義では、北朝における儒学、経学の実態を探る第一歩として、北朝正史の儒林伝を読んでいく。具体的には『魏書』『北斉書』『周書』である。
北朝における学問の共有や伝承の様子を、時には南朝の動向をも視野に入れつつたどることで、北朝ではどのような学問を備えることが目指されたのかを、探っていく。また儒者に対して、社会がどのような役割を期待していたのかについても、考えていきたい。こうした営みは、南北朝時代に限らず、中国社会を考える上でのヒントになろう。
なおすでに令和2年度から『魏書』儒林伝を読み始めており、今年度はその途中からになる。ただし過去の内容は当然フォローするので、今年度からの受講も問題ない。分野を問わず、様々な学生の履修に期待したい。

 

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍目録法[前期]

漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

 

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍分類法[後期]

四部分類法を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

 

船山徹(協力講座・人文科学研究所 教授)『金剛般若経』から漢訳仏典を学ぶ

『金剛般若経(こんごう・はんにゃきょう)』はインド中国で最もよく読まれた大乗般若経である。サンスクリット語原典には異なる数種があり、また中国で訳された漢訳にも複数種類ある。岩波文庫に収める漢訳とサンスクリット語原典が唯一のものではないし、岩波文庫の和訳も問題を含む箇所がある。この授業では、インド中国の大乗佛教を知るための素材として、『金剛般若経』のサンスクリット語原典・漢訳数種・チベット語訳を比較しながら、細かな相違を適確に理解する読解訓練を行いながら、特に漢訳諸本の訳語のニュアンス(含蓄)にどのような違いがあるかを、原文に即して理解できるようにすることを目指す。
またその基となる基本知識として、佛教漢語の特色・訳語(漢訳)の特異性・大藏経の使い方・佛教漢語の意味を確定するために行う常套的手法も身に付けるようにする。

 

倉本尚徳(協力講座・人文科学研究所 准教授)中国の僧伝から見た隋の仏教:『続高僧伝』講読

中国初唐の道宣が撰した『続高僧伝』は、南北朝期から初唐にかけての中国仏教史を考える際に最も基本となる史料であり、日本仏教にも大きな影響を与えている。この書は、僧伝にかかわる関連史料の網羅的な収集と各地の実地踏査をもとに幾度も増補改訂がなされ、同種の書に例をみない豊富な内容と版本ごとの大きな異なりを有している。特に日本の寺院が所蔵する古写本は、版本よりも以前の形態を保存しており、近年研究が進み、その増補過程が次第に明らかとなってきている。
本授業では、『続高僧伝』の各種版本・撰者道宣の伝記について概観した後、主要な僧の伝について、研究史を紹介し、複数の版本を比較検討し、同一人物についての他の史料と比較検討しながら読み進める。それによって、中国仏教史の理解を深め、僧伝の内容にいかに撰者の主観が大きく影響しているかを考えてみたい。なお時間の関係上適宜省略しつつ読み進める。関連する石刻資料があれば現物の写真・拓本なども紹介する。
基本は講義形式と講読形式を交互に併用して進めるが、進捗状況に応じて柔軟に対応する。講読にあたっては受講者の状況に応じて、一部分の現代語訳担当を御願いする。それが難しい場合はレポート提出とする。
前期は講義では主に北朝後期から隋代の僧をとりあげ、北周の廃仏と隋文帝の仏教復興政策とインド・西域の仏教との関係について考察する。講読は前年度に引き続き隋の訳経僧、闍那崛多の伝から読み進める。

 

三浦秀一(東北大学大学院文学研究科 教授)明代儒仏道三教交渉史
[集中講義]

この授業では明代における儒仏道三教交渉の歴史的展開をあとづける。明学の精華とされる陽明学が仏道両教、とりわけ禅仏教と親和的な思想内容を有することは周知のとおりだが、そうした思想が明朝正徳嘉靖期に登場するにいたる思想史的背景や、陽明後学の活動と明末における仏道両教との関連性などについて、科挙制度の普及や出版活動の興隆というこの時代の社会や文化を特徴づける要素にも触れながら考察してゆきたい。

 

◆演習◆

宇佐美文理(教授)『困学紀聞注』精読

古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。そのために『困学紀聞注』を精読する。授業は、訳注を作らず、授業の場で適宜一条ずつ担当をしてもらい訓読ならびに出典などの報告をしてもらう。出典に確実に当たることを重視し、本文の文章や語句などすべての典拠、用例について、もとの書物を調べる作業を重視する。今年は『困学紀聞注』(翁注困学紀聞)の巻十、諸子の部分を読む。

 

池田恭哉(准教授)阮元の文章を読む

阮元(1764-1849)は言うまでもなく清朝考証学を代表する学者である。この授業では、彼の著作『ケン経室集』(ケン:研+手)の中から、経学を中心として思想に関わる内容の文章を選読する。文章のジャンルは序・論・跋・書など多岐にわたる。
多彩なテーマやジャンルの文章を読むことは、古典読解能力を高めるとともに、その考証の手法や表現の方法を学ぶことをも可能にするであろう。そして同時代の学者が、同じテーマに対して考察を展開していた場合、時に阮元を離れてでも、それについて検証していくので、清朝という時代の学的風潮も体感できる。
話題は経学を中心としつつ、中国の多様な時代、分野に及ぶことになる。また文章のジャンルも特定のものにこだわらない。そのため様々な専攻の学生の出席を期待する。

 

吉本道雅(協力講座・本研究科東洋史学専修 教授)『春秋左伝正義』

十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を輪読する。

 

古勝隆一(協力講座・人文科学研究所 准教授)『論語義疏』講読

この授業では、儒教文献『論語義疏』子路篇を講読する。その経文・何晏等集解・皇侃義疏、そして『経典釈文』(論語音義)を講読の対象とする。
テクストに正面から向かい合い、正確な理解を目指すのはもちろんだが、それをサポートする、書誌学的・校勘学的な知識もあわせて習得することを目標としている。
慶應義塾大学蔵の中国写本の影印に基づき、子罕篇の訳注を作成する。

 

中純夫(協力講座・京都府立大学文学部 教授)呉志忠「附攷序」「四書章句附攷」巻1「大学」、「四書章句集注定本辨」

朱熹『大学章句』は60歳でひとまず脱稿するが、朱熹はその後も改訂を繰り返し、その改訂作業は死の3日前にまで及んだ。今日に伝わる『四書章句集注』には興国本と淳祐本の2系統が有り、そのいずれもが朱熹による幾多の改訂を経た最終稿(晩年絶筆)であると見なされている。ただ両本には重大な点で異同が有り、その異同を含んだまま両本をともに晩年絶筆本と見なすことには問題が有ろう。また呉志忠は両本のうち淳祐本が勝るとしてこれを底本としたため、呉志忠校本に拠った芸文印書館本、中文出版社本、中華書局本(新編諸子集成本)は、いずれも淳祐本系統である。ただ淳祐本を採った呉志忠の判断の妥当性も、改めて検討する必要が有る。
授業ではこのような問題意識のもとに、呉志忠の「附攷序」「四書章句附攷」巻1「大学」、「四書章句集注定本辨」を精読する。

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2020年度の授業 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/history_of_chinese_philosophy/2020%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%81%ae%e6%8e%88%e6%a5%ad/ Wed, 06 May 2020 03:57:42 +0000 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=40155 ◆講義◆

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]

中国哲学の基本概念を講義し、中国哲学ならびに中国文化への理解を深める。

 

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]

中国の目録学について概要を示すことからはじめて、中国哲学史上の重要な書物について、経部と子部の書物を中心にそれぞれの内容について解説し、その書物が学問全体においてもつ位置についての知識を深める。

 

◆講読◆

池田恭哉(准教授)『文選』の文章を読む

漢文を読むための基礎的な知識を習得し、それらを活用して実際の漢文を読み、その読解力を身につけることを最大の目的とする。最初は漢文とその読み方について概説をし、またテキストとなる『文選』について紹介する。その上で、実際の『文選』収録の文章として、三国魏の曹植による「七啓」を読解する。なおその際、『文選』に附された李善による注釈もあわせて読むことで、漢文読解における注釈の意義について考えてもらう。

 

◆特殊講義◆

池田恭哉(准教授)北朝正史の儒林伝を読む

南北朝時代、中国は南北に分かれ、その学問の在り方も様相を異にした部分が多い。例えば中国思想の根幹を成す儒学、その学問に精通した人物を列挙した儒林伝が正史には設けられるのが通例である。北朝では『魏書』『北斉書』『周書』、さらに『隋書』に設けられるが、南朝の『宋書』『南斉書』には設けられないのである。では如上の状況は、如何なる理由によって生じたのか。そのことを考えるための基礎作業として、本講義では北朝正史の儒林伝を読むことに着手したい。北朝における学問伝承の様子を丹念に、時には南朝の動向をも視野に入れつつたどることで、北朝ではどのような学問を備えることが目指されたのかを、考えていく。また北朝を一括りにせず、隋をも含む各王朝での学問の差異、または継承ということにも留意する。

 

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍目録法[前期]

漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

 

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍分類法[後期]

四部分類法を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

 

船山徹(協力講座・人文科学研究所 教授)仏教漢語の語義解釈:梵語的側面と漢語的側面

漢字仏教語(仏教漢語)は中国と日本の仏教思想史の発展を知るための基本である。中国の仏教徒は,サンスクリット語原典を逐一比較することなく,専ら漢語で仏教を理解した。その結果,仏教漢語を理解する際に,インド本来の語義に加え,漢語特有の中国的解釈法を重ね合わせ,一語を二重三重に解釈して,意味や思想に幅を持たせる重層的効果を実現した。
この授業では,漢語に基づく仏教理解が,インド文化から何を継承し,中国でいかなる独自の展開を遂げたかを,基本的仏教語の語義を原文をもとに解明する。このことは仏教という外来文化を理解するための文化的・言語的・学術的背景を知ることにも役立つ。

 

倉本尚徳(協力講座・人文科学研究所 准教授)中国の僧伝を読む:『続高僧伝』講読(一)

中国初唐の道宣が撰した『続高僧伝』は、南北朝期から初唐にかけての中国仏教史を考える際に最も基本となる史料であり、日本仏教にも大きな影響を与えている。この書は、僧伝にかかわる関連史料の網羅的な収集と各地の実地踏査をもとに幾度も増補改訂がなされ、同種の書に例をみない豊富な内容と版本ごとの大きな異なりを有している。
授業では、『続高僧伝』の成立過程・撰者道宣の伝記について概観した後、主要な僧の伝について、研究史を紹介し、複数の版本を比較検討し、同一人物についての他の史料と比較検討しながら読み進める。それによって、仏教史の理解を深め、僧伝の内容にいかに撰者の主観が大きく影響しているかを考えてみたい。

 

内山直樹(千葉大学大学院人文科学研究院 教授)秦漢期の学術[集中講義]

秦漢期は経学をはじめとする中国の伝統学術の基礎が形成された時代であり、そこでは思想上・学説上の変化のみならず、学問伝授の方法や知識社会の構造といった知的環境の転換が同時進行的に生起した。この授業では当時における知識人の活動形態や書物の著述形態に注目することで、そのような総体的転換の一端を垣間見たい。

 

◆演習◆

宇佐美文理(教授)国朝文録精読

古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。そのために『国朝文録』を精読する。授業は、各文章毎に、学生諸氏に訳注を準備してもらい、授業時に参加者全員で内容等について議論検討する、という形式を取る。出典に確実に当たることを重視し、本文の文章や語句などすべての典拠、用例について、もとの書物(紙で出来た書物)を調べる作業を重視する。今年は巻八の論の部分を読む。

 

池田恭哉(准教授)孫志祖『読書〈月坐〉録』

清・孫志祖『読書〈月坐〉録』を読む。孫志祖が関心を持ったテーマに対し、様々な角度から考察した過程を、『読書〈月坐〉録』を精読することで追体験してもらう。多彩なテーマの考証を読むことは、古典読解能力を高めるとともに、その考証の手法を学ぶことをも可能にするであろう。話題は経学を中心としつつ、中国の多様な時代、分野に及ぶので、様々な専攻の学生の出席を望む。

 

吉本 道雅(本研究科東洋史学専修教授)『春秋左伝正義』

十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。

 

古勝隆一(協力講座・人文科学研究所 准教授 )『礼記正義』講読

この授業では、儒教文献『礼記』曲礼上を講読する。その経文・鄭玄注・孔穎達正義、そして『経典釈文』(礼記音義)を講読の対象とする。
テクストに正面から向かい合い、正確な理解を目指すのはむろんだが、それをサポートする、書誌学的・校勘学的な知識もあわせて習得することを目標としている。

 

中純夫(協力講座・京都府立大学文学部 教授)『朱子言論同異攷』講読

朝鮮の朱子学者韓元震(1682~1751)の主著『朱子言論同異攷』を読む。同書は「理気」「理」「陰陽」「五行」「天地」等の項目ごとに朱熹の言論の異同を指摘し、その早晩の鑑別や「定論」の判定を企図したものである。授業は輪読形式で行い、担当者が作成した訳注原稿を受講者全員で検討する。受講者には各自、同書所引の朱熹語の原典に当たり、異同の持つ意味を整理した上で、韓元震の所論の是非を批判的に検証することを要求する。
テキストはソウル大学校奎章閣蔵『朱子言論同異攷』を使用する(プリント配布)。

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2019年度の授業 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/history_of_chinese_philosophy/2019%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%81%ae%e6%8e%88%e6%a5%ad/ Mon, 25 Mar 2019 02:53:19 +0000 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=35287 ◆講義◆

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]

中国哲学の基本概念を講義し、中国哲学ならびに中国文化への理解を深める。

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]

中国の目録学について概要を示すことからはじめて、中国哲学史上の重要な書物について、経部と子部の書物を中心にそれぞれの内容について解説し、その書物が学問全体においてもつ位置についての知識を深める。

◆講読◆

池田恭哉(准教授)『文選』の文章を読む

漢文を読むための基礎的な知識を習得し、それらを活用して実際の漢文を読み、その読解力を身につけることを最大の目的とする。最初は漢文とその読み方について概説をし、またテキストとなる『文選』について紹介する。
 その上で、実際の『文選』収録の文章として、三国魏の曹植による「七啓」を読解する。なおその際、『文選』に附された李善による注釈もあわせて読むことで、漢文読解における注釈の意義について考えてもらう。

◆特殊講義◆

宇佐美文理(教授)中国絵画理論研究

中国絵画の歴史を通覧しつつ、各時代に特徴的な絵画理論を検討しながら、その理論が中国哲学史上に持つ意味を考えていく。

池田恭哉(准教授)中国家訓研究(2)

中国には数多くの「某某家訓」と銘打たれた文章があるし、また後世の者に遺した言葉も多く伝わる。だがそれらに共通する特質は何なのかということは、なお明らかにされていない部分が多い。
 平成31年度の特殊講義では、唐・欧陽詢撰『芸文類聚』巻23・鑑誡に収められる文章の中から、明確に子や家に伝えようと著されたものを読むことで、それらの文章が鑑誡の名の下にまとめられていることをヒントに、家訓の淵源や特質について探究してきた。今年度はその内容を踏まえつつ、前年度は読み得なかった南北朝時代にまで文章の対象を広げ、家訓が歴代どのような体裁、内容のものとして認識されてきたのかをさらに考察する。

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍目録法[前期]

漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍分類法[後期]

四部分類法を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

船山徹(協力講座・人文科学研究所 教授)仏教漢語の語義解釈:梵語的側面と漢語的側面

5ー11世紀頃の中国仏教思想史の根幹的な発展に関わる漢字仏教語(仏教漢語)に着目し,漢語に特有の仏教語の語義解釈に迫る。
中国の仏教徒は,サンスクリット語原典を逐一比較することなく,専ら漢語で仏教を理解した。その結果,仏教漢語を理解する際に,インド本来の語義に加え,漢語特有の中国的解釈法を重ね合わせ,一語を二重三重に解釈して,意味や思想に幅を持たせる重層的効果を実現した。
 この授業では,漢語に基づく仏教理解が,インド文化から何を継承し,中国でいかなる独自の展開を遂げたかを,基本的仏教語の語義を原文をもとに解明する。このことは仏教という外来文化を理解するための文化的・言語的・学術的背景を知るのに有益である。

武田時昌(協力講座・人文科学研究所 教授)中国の思想と科学

人文学はいま岐路に立たされている。存在とは何か、世界がなぜむしろ実在するか、不可知であることを前提にして至遠の理を洞察せよとはどういうことなのか。ゲノム解読によって示された生命観、歴史観は、過去の哲学的命題をちゃらにし、人類の文明史観、文化認識はちっぽけな自己満足にすぎないことを言い立てている。世界の永遠とは落陽の女神とともに海の彼方に沈む運命にあり、旅だった愛すべき詩人は二度と詩歌を口ずさんでくれない。
 再生医療や不妊療法が難病克服を旗頭にして生命操作の危険を冒しはじめた現今、先端技術の暴走族をどんな倫理規範で取り締まれればいいだろうか。論じえないことに沈黙せねばならないとしても、語りえないことを語り続ける価値はある。では、パラダイムシフトの旗手となる未来の若者にいったい何を語り継ぎ、世界の記憶とすればいいのか。
 現代人は多忙で苦悩に満ちた日常に立ち尽くしている。高度な科学技術がもたらした長寿社会やネット世界は、前近代社会と比較してどれほどの幸福感や安堵感を増進させたというのか。「いかに生きるべきか、どのように生き長らえ、死を迎えるのか」、そんな問いかけに模範解答すら提示できないでいる。科学的、実証的であろうとする人文学は、生きる知恵というサイエンスの原義に回帰すべきである。
 そのような視座に立って、東アジアの伝統科学文化を振り返れば、天地自然と人倫社会の相互作用をアナロジーにして、社会のあり方、人間の生き方をユニークな思索を巡らしている。自分らしく生きること、考えることを追究するうえで、有益なアイデアをそこにいくつも見出すことができる。そこで、本授業では、老子と易の自然哲学を思想源とし、漢代の思想革命を経て醸成した中国的パラダイムに構造的把握を試み、その特質や可能性、限界性を探る。
 なお、前期は古代(先秦から漢まで)、後期は中世から20世紀までを議論する。

橋本秀美(青山学院大学国際政治経済学部 教授)漢唐経学資料の読解[前期・集中講義]

漢代から唐代の経学文献は、宋代以降とは異なる点が多く、現代の我々が直接理解しようとしてもなかなか難しいが、努力すれば理解できることも多い。読書の楽しみは、やはり未知の体験をすることに在り、これらの資料はそのような体験を我々に豊富に提供してくれる。
 個人的経験例を通して、そのような読書の楽しみをお伝えしたい。

◆演習◆

宇佐美文理(教授)国朝文録精読

古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。そのために『国朝文録』を精読する。授業は、各文章毎に、学生諸氏に訳注を準備してもらい、授業時に参加者全員で内容等について議論検討する、という形式を取る。出典に確実に当たることを重視し、本文の文章や語句などすべての典拠、用例について、もとの書物(紙で出来た書物)を調べる作業を重視する。今年は巻八の論の部分を読む。

池田恭哉(准教授)孫志祖『読書〈月坐〉録』

清・孫志祖『読書〈月坐〉録』を読む。孫志祖が関心を持ったテーマに対し、様々な角度から考察した過程を、『読書〈月坐〉録』を精読することで追体験してもらう。多彩なテーマの考証を読むことは、古典読解能力を高めるとともに、その考証の手法を学ぶことをも可能にするであろう。話題は経学を中心としつつ、中国の多様な時代、分野に及ぶので、様々な専攻の学生の出席を望む。

吉本 道雅(本研究科東洋史学専修教授)『春秋左伝正義』

十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。

古勝隆一(協力講座・人文科学研究所 准教授 )『荘子』郭象注を読む

『荘子』は道家思想の核心的な文献であるが、同書を理解するために欠かせないのが、西晋の郭象が書いた注釈である。この授業では、『荘子』郭象注をなるべく厳密に読み解くことを目標とする。
 ただ、『荘子』が難解であるのみならず、郭象の注も相当に難解である。テクストに正面から向かい合い、正確な理解を目指すのはむろんだが、それをサポートする、書誌学的・校勘学的な知識もあわせて習得することを目標としている。

中純夫(協力講座・京都府立大学文学部 教授)『朱子言論同異攷』講読

朝鮮の朱子学者韓元震(1682~1751)の主著『朱子言論同異攷』を読む。同書は「理気」「理」「陰陽」「五行」「天地」等の項目ごとに朱熹の言論の異同を指摘し、その早晩の鑑別や「定論」の判定を企図したものである。授業は輪読形式で行い、担当者が作成した訳注原稿を受講者全員で検討する。受講者には各自、同書所引の朱熹語の原典に当たり、異同の持つ意味を整理した上で、韓元震の所論の是非を批判的に検証することを要求する。
 テキストはソウル大学校奎章閣蔵『朱子言論同異攷』を使用する(プリント配布)。

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研究室へのお問い合わせ https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/history_of_chinese_philosophy/hcp-contact/ Wed, 30 Jan 2019 14:12:42 +0000 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=34962 研究室へのお問い合わせ

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『中国思想史研究』 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/history_of_chinese_philosophy/hcp-journal/ Wed, 30 Jan 2019 13:21:11 +0000 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=34949 『中国思想史研究』

『中国思想史研究』(Journal of History of Chinese Thought)とは、京都大学中国哲学史研究会の学術研究誌である。同会会員による中国思想史に関する研究論文などを収載。

1993年、第3回「蘆北賞」(學術誌部門)を受賞。

掲載論文の一部は「京都大学学術情報レポジトリKURENAI(紅)」に公開されています。

購読等に関するお問い合わせ

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『中国思想史研究』既刊号一覧

創刊号||2号||3号||4号||5号||6号||7号||8号||9号||10号||11号||12号||13号||14号||15号||16号||17号||18号||19号||20号||21号||22号||23号||24号||25号||26号||27号||28号||29号||30号||31号||32号||33号||34号||35号||36号||37号||38号||39号||40号||41号||42号||43号

◆各号の掲載論文及び執筆者◆

第四十四号(定価1500円)最新号(二〇二三年三月発行)

崔靈恩の『三禮義宗』――鄭玄注から南北朝經學へ――(田尻健太)
大覺國師義天の燒身供養――孝を目的とした捨身――(中村慎之介)
『賈誼新書』「德の六理」説とその政治思想上の意義(工藤卓司)

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第四十三号(定価2000円)最新号(二〇二二年三月発行)

『抱朴子』における「行」 ―― 外篇行品篇を手掛かりに――(臧魯寧)
北宋繪畫論における「幻」――「幻」の繪畫の由來及びその意味――(王歡)
朱熹の自欺說について――最晚年における『大學章句』『大學或問』の改訂――(中純夫)
「禮教」の滲透・汎化とその展開――中國を中心とする近世東アジアの事例から――(伊東貴之)
鄭注禮記補疏(曲禮・檀弓)(喬秀岩)
段玉裁『古文尚書撰異』序譯注(二)(田尻健太・古勝隆一)

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第四十二号(定価1500円)

『抱朴子』の隠逸觀 ―― 「出處同歸」をめぐって――(臧魯寧)
釋亡名――中國南北朝末期(六世紀)の知識人(西脇常記)
ある三教融合の樣相――『北斗本命延生經』玄元眞人註試論――(三浦國雄)
段玉裁『古文尚書撰異』序譯注(一)(田尻健太・古勝隆一)
內山俊彥先生の思い出(末永高康)
內山俊彥名譽教授著作目錄續(一九九六年十二月以降)

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第四十一号(定価1500円)

『尚書大傳』と『尚書』經文(伊藤裕水)
『抱朴子』外篇の形神觀念――人物鑑識論との關わりを中心に――(臧魯寧)
北宋蜀學の孟子觀(陳佑眞)
大慧禪における悟境についての一試論(前)――「寂滅現前」を手がかりとして――(中西久味)

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第四十号(定価1500円)

隋朝における牛弘の位置(池田恭哉)
繪畫修養論――「氣韻生知」から「氣韻學知」へ(王俊鈞)
義疏學の轉換――『五經正義』における「今不所取」の考察(王孫涵之)

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第三十九号(定価1500円)

朱熹における四書注釋の「説明」實踐知の所在(市來津由彦)
王弼の終始論(趙ウニル)
繪畫理論における「邪甜俗賴」とその周邊について(王俊鈞)
敖繼公『儀禮集説』と朱子『儀禮經傳通解』-その繼承と修正(廖明飛)
豐穰な知の世界-退溪學成立前夜の朱子學をめぐって(3)-(川原秀城)

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第三十八号(定価1500円)

『顏氏家訓』における學問と保身(田中一輝)
題記を有つ麴氏高昌國時代の二つの佛經斷片(西脇常記)
豐穰な知の世界-退溪學成立前夜の朱子學をめぐって(2)-(川原秀城)

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第三十七号(定価1500円)

胡宏と朱子―兩者の相異の根源としての經書理解(福谷彬)
敖繼公『儀禮集説』における鄭玄注の引用と解釋(廖明飛)
劉師培の義例觀と劉氏家學―繼承から發展へ(田訪)
豐穰な知の世界-退溪學成立前夜の朱子學をめぐって(1)-(川原秀城)

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第三十六号(定価1000円)

擲錢法に對する桃源瑞仙の講抄(近藤浩之)
王弼の聖人論(趙ウニル)

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第三十五号(定価1500円)

顔之推における『顔子家訓』と『冤魂志』(池田恭哉)
「形」についての再考(宇佐美文理)
劉師培における『左傳』の義例觀(田訪)

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第三十四号-池田秀三教授退職記念論集-(定価2500円)

『性自命出』の性情論(鄭宰相)
天の時、地の利を推す兵法―兵陰陽の占術理論―(武田時昌)
『孟子』と『五行』(末永高康)
『春秋穀梁傳』の敬について(木村亮太)
小學と書(宇佐美文理)
魏晉の明堂改制論と王肅の五帝説(南澤良彦)
傳・訣・經―上清經の形式についての略論(金志玹)
「溥天之下、莫非王土」攷―隱逸と節義―(池田恭哉)
『劉子』における理想的人格(龜田勝見)
血字經の淵源と意義(村田みお)
初唐におけるモジュール的思考について―類書・正義そして楷書―(木島史雄)
道信と天台止觀(古勝亮)
『周易集解』所引の鄭玄易注について(仲畑信)
佛教と道教の間―禪籍に見える用例から―(坂内榮夫)
朱子の「心」(孫路易)
王棟の致良知否定論―致良知説の尖鋭化―(中純夫)
明萬暦版リッチ編・畢懋康演・余永寧刊刻の『乾坤體義』について(馮錦榮)
劉師培の『國學發微』について―中國における「國學」成立の一側面―(末岡宏)
池田秀三教授著作目録

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第三十三号(定価1500円)

『管子』の心術と内業再探(金東鎭)
『道教義樞』序文に見える「王家八竝」をめぐって―道教教理學と三論學派の論法―(麥谷邦夫)
『春秋左傳讀』に於ける章太炎の思考法と左傳觀(田訪)

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第三十二号(定価1500円)

五星會聚説の數理的考察(下)―秦漢における天文暦術の一側面(武田時昌)
春秋災異説の展開における災異事例の選擇と變貌(木村亮太)
近代中國禮學研究の苦境と突破(彭林・池田恭哉[譯])
黄侃<禮學略説>詳注稿(三)(池田秀三)

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第三十一号(定価1500円)

五星會聚説の數理的考察(上)―秦漢における天文暦術の一側面(武田時昌)
模倣の價値(宇佐美文理)
顏之推の學問における家と國家(池田恭哉)
『二入四行論』雜録第一の話者(古勝亮)

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第三十号(定価1500円)

元嘉暦と戊寅暦とにおける定朔平朔論議(南澤良彦)
劉炫の『孝經』聖治章講義(古勝隆一)
朱子學的君主論―主宰としての心―(田中秀樹)

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第二十九号(定価1500円)

道家新メンバーについての考察―兼ねて『易』繫辭傳は道家の著作に非ざるを論ず―(周桂鈿 著・石立善譯)
「黄庭内景經序」小考―その成立と性格について―(金志玹)
佛教圖像と山水畫―盧山慧遠「佛影銘」と宗炳「畫山水序」をめぐって―(村田みお)
『祕書監致仕呂府君墓誌銘并序』をめぐって(坂内榮夫)黄侃〈禮學略説〉詳注稿(二)(池田秀三)
父湯淺廉孫の思ひ出(石川澄代)

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第二十八号(定価2500円)


宗鑑撰『釋門正統』について(西脇常記)
婦人病の醫學思想(武田時昌)
『晦庵先生語録大綱領』攷―附録朱子・范如圭・程端蒙・李方子の佚文―(石立善)
研究ノート・黄帝研究―漢代思想史研究分野を中心に(伊藤円)
黄侃〈禮學略説〉詳注稿(一)(池田秀三)

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第二十七号(定価1500円)


点・線・面―六十述学(周桂鈿著・伊藤円訳)
物化小考(末永高康)
荀子の吊実論―単吊と兼吊の問題を中心に―(鄭宰相)
皇帝の権威と儒家―孔子の位置づけをめぐって―(永渕正是)

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第二十六号(定価1500円)


劉劭『都官考課』とその批判をめぐって(東川祥丈)
『論衡』と『史通』(福島正)
王陽明の「良知《の再検討(孫路易)
『論衡』の縁よりして日本の縁に及ぶ(周桂鈿著・池田秀三訳)
弔湯浅幸孫先生文(池田秀三)
湯浅幸孫吊誉教授著作目録続

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第二十五号(定価1500円)


歴史伝承に対する王充の事実認識の諸問題(山花哉夫)
『論衡』における河図・洛書について(山口円)
「雑家類小考」(宇佐美文理)
劉宗周の「学言」について―慎独説から誠意説へ―(中純夫)

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第二十四号(定価1500円)


何休の考えた歴史(内山俊彦)
初期養生説と早期医学―内因論の系譜―(白杉悦雄)
「定命論」考(亀田勝見)
法琳の三教論によせて(中西久味)

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第二十三号(定価1500円)


読書箚記三題(吉川忠夫)
前漢期法政に見える法律観についての一考察(東川祥丈)
貙劉考(村田浩)
中国思想研究者のためのインターネット資源簡介(麥谷邦夫)

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第二十二号(定価1500円)


王充の著述意識(山花哉夫)
『周易集解』所引の王弼易注について(仲畑信)
宋代(九六○~一二七九)における仏教史書(西脇常記)
王蘋の生涯と師承(小笠智章)

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第二十一号(定価1500円)


輯佚の難と校讐の難(池田秀三)
文明に至るための権道―梁啓超における宗教と専制―(李惠京)
康有為の「気」の再検討(孫路易)

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第二十号(定価1500円)


伝達者としての欧陽修―減少に赴く思考―(藤井京美)
心と矩―顧憲成における朱子学と陽明学―(中純夫)
明末清初における黄百家の生涯と著作(馮錦栄)

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第十九号―内山俊彦教授退官記念論集―(定価3500円)


王充の歴史意識について(内山俊彦)
性善説再考―『孟子』尽心下第二十四章をてがかりに―(末永高康)
雁の四徳について(小林清市)
搊益の道、持満の道―前漢における易の台頭―(武田時昌)
『漢書』郊祀志の「泰一」の祭祀について(村田浩)
王粛の災異思想(南澤良彦)
王弼『論語釈疑』について(仲畑信)
「大晋龍興皇帝三臨辟雍皇太子又再莅之盛徳隆煕之頌」にみる晋初の礼学とその実践(木島史雄)
山水画と風景詩(宇佐美文理)
『神仙伝』再検討のために―諸本における仙伝の配列から見て―(亀田勝見)
『大道論』攷―唐代道教と洪州禅―(坂内栄夫)
程伊川の思想における〈養気〉をめぐって(小笠智章)
『救荒本草』考(白杉悦雄)
銭緒山の思想について―王龍渓・羅念庵を通じて―(呉震)
顧炎武―礼への復帰―(李惠京)
梁啓超にとってのルネサンス(末岡宏)
内山俊彦教授著作目録

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第十八号(定価1200円)


『史通』と『資冶通鑑』(福島正)
董仲舒春秋災異説の再検討(末永高康)
清末の礼学について―劉師培「逸礼考」をめぐって―(末岡宏)

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第十七号(定価2000円)


成玄英と三論教学についての一試論(中西久味)
『淮南子』の類(村田浩)
葛洪における運命の問題(亀田勝見)

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第十六号(定価2000円)


読風俗通義皇覇篇札記(池田秀三)
魏晋における太極論の展開(仲畑信)
程伊川の”気”をめぐって(小笠智章)

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第十五号(定価2000円)


無善無悪論について―陽明学を中心に―(呉震)
一陰一陽と三陰三陽―象数易と『黄帝内経』の陰陽説―(白杉悦雄)
董仲舒陰陽刑徳説について(末永高康)

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第十四号(定価2000円)


『管子』における「管仲」の候気の世界(久富木成大)
宋代における『史通』(西脇常記)
『淮南子』と災異説(村田浩)

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第十三号(定価2000円)


楊泉とその思想(内山俊彦)
招魂をめぐる礼俗と礼学(木島史雄)
「致知格物」論の構図(柳田裕延)
重澤俊郎博士著作目録

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第十二号(定価2000円)


『斉民要術』にみる醸造の呪術(小林清市)
明末における易学の展開―黄道周の『易象正』をめぐって―(馮錦榮)
戴震と西洋暦算学(川原秀城)

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第十一号(定価2000円)


漢代の淮南学―劉向と許慎―(池田秀三)
干宝易注の特徴(仲畑信)
劉師培の春秋学(末岡宏)

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第十号(定価2000円)


『易緯乾元序制記』所載の易緯佚文について(武田時昌)
王粛の政治思想―「感生帝説」批判の背景―(南澤良彦)
方以智の思想―方氏象数学への思索―(馮錦榮)

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第九号(定価2000円)


陸疏の素描(小林清市)
欧陽脩の学問と芸術論(宇佐美文理)
『正蒙』太和篇の一条について―「気」の認識形態―(木下鉄矢)

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第八号(定価2000円)


列子與漢魏晋思想(荘萬壽)
『千唐誌齊藏誌』に見える唐代の二三の習俗について(西脇常記)
邵雍と張載の思想における〈神〉の意義(小笠智章)
養老律令考辨二則(湯浅幸孫)

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第七号(定価1500円)


漢代思想はいかに研究されてきたか(日原利國)
『鍾呂伝道集』と内丹思想(坂内栄夫)
朱子の工夫論について―未発已発の問題をめぐって―(中純夫)
故日原利國教授略歴・著作目録

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第六号(再販定価2000円)


古典の役割(重沢俊郎)
五藏の五行配当について―五行説研究その一―(林克)
『九章算術』の構成と数理(武田時昌)
もう一つの易筮法(川原秀城)

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第五号(定価1500円)


六天説の背景(呉二煥)
邵晉涵の歴史学―餘姚邵氏の歴史学その一―(福島正)

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第四号―湯浅幸孫教授退官記念論集―(定価平装3000円精装5000円)


地券徴存考釋(湯浅幸孫)
中国古代詩の修辞と形式―「詩経」の興と畳詠について―(久富木成大)
後漢・四分暦の世界―蔡の律暦思想―(川原秀城)
六朝齊梁の「神上滅論」覺え書―佛性説との交流より―(中西久味)
『史通』疑古篇論考―述者の意識―(福島正)
『陸文學自傳』考(西脇常記)
「打乖」考(三浦国雄)
張載の思想について―「大」と「聖」―(木下鉄矢)
清初の漢人とその処世―詩を以て史を証す―(山口久和)
訓詁の虚と実(池田秀三)
湯浅幸孫教授論著目録

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第三号(定価1000円)


「潜夫論」に引く〈魯詩〉について(湯浅幸孫)
『潜夫論』版本小考―特に元大徳本について―(池田秀三)
呂留良と張倬投書案(山口久和)
段玉裁の思考様式(木下鉄矢)

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第二号(再版定価2000円)


思想家としての王廷相―張載と王廷相―(湯浅幸孫)
中唐の思想―権徳輿とその周辺―(西脇常記)
宗炳「明仏論」について―その神上滅論形成の一側面―(中西久味)

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創刊号(再版定価2000円)


序に代えて(湯浅幸孫)
王船山研究其の一―存在論を中心として―(山口久和)
古音学の歴史―学的認識の形成及び深化の過程―(木下鉄矢)
三統暦の世界―経学成立の一側面―(川原秀城)

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2022年度教員・学生 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/history_of_chinese_philosophy/%e6%95%99%e5%ae%98%e3%83%bb%e5%ad%a6%e7%94%9f/ Wed, 30 Jan 2019 07:42:06 +0000 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=34928 2022年度教員・学生

教員

宇佐美 文理(教授)

池田 恭哉(准教授)

船山 徹 (協力講座・人文科学研究所教授)

古勝 隆一(協力講座・人文科学研究所准教授)

永田 知之(協力講座・人文科学研究所准教授)

倉本 尚徳(協力講座・人文科学研究所准教授)

 

大学院博士後期課程

三年

王 歓:宋代美学

一年

田尻 健太:義疏学

 

大学院修士課程

二年

佐々木 徹志:春秋学

 

学部生

四年

加藤 航太

柴﨑 颯大

 

OD

臧 魯寧:六朝道教思想

 

聴講生・研究生

米田 実(聴講生)

柳原 一徳(聴講生)

 

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2018年度の授業 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/history_of_chinese_philosophy/2018%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%81%ae%e6%8e%88%e6%a5%ad-2/ Wed, 30 Jan 2019 07:25:00 +0000 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=34919 ◆講義◆

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]

中国哲学の基本概念を講義し、中国哲学ならびに中国文化への理解を深める。

宇佐美文理(教授)中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]

中国の目録学について概要を示すことからはじめて、中国哲学史上の重要な書物について、経部と子部の書物を中心にそれぞれの内容について解説し、その書物が学問全体においてもつ位置についての知識を深める。

◆購読◆

池田恭哉(准教授)『文選』の文章を読む

漢文を読むための基礎的な知識を習得し、それらを活用して実際の漢文を読み、その読解力を身につけることを目的とする。最初は漢文とその読み方について概説をし、またテキストとなる『文選』について紹介する。その上で、実際の『文選』収録の文章を選読する。なおその際、『文選』に附された李善による注釈もあわせて読む。

◆特殊講義◆

宇佐美文理(教授)中国文献学研究

中国学を学ぶための基礎学である文献学について理解を深める。とりわけ清朝の文献学者が漢籍を
どのように見ていたかを理解する。黄丕烈の『士礼居蔵書題跋記』を読むと同時に、毎時間、文学
研究科所蔵の漢籍を資料として用いながら解説することによって、「モノ」としての漢籍について
の知識と理解を深める。

池田恭哉(准教授)中国家訓研究

中国には数多くの「某某家訓」と銘打たれた文章があるし、また後世の者に遺した言葉も多く伝わ
る。だがそれらに共通する特質は何なのかということは、なお明らかにされていない部分が多い。
本講義では、唐・欧陽詢撰『芸文類聚』巻23・鑑誡に収められる文章の中から、明確に子や家に
伝えようと著されたものを読む。それらの文章が鑑誡の名の下にまとめられていることをヒントに、
家訓の淵源や特質について探究する。また南北朝時代に著された家訓も合わせて読むことで、家訓
が歴代どのような体裁、内容のものとして認識されてきたのかを考察する。

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍目録法[前期]

漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

永田知之(協力講座・人文科学研究所 准教授)漢籍分類法[後期]

四部分類法を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

船山徹(協力講座・人文科学研究所 教授)五ー六世紀中国の在家者の理解した仏教思想と仏教史

中国の仏教の歴史は,インド伝来の外来情報を漢訳を通じて受け継ぐ面と,仏教伝来以前から中国
に存在した伝統的学術に基づく面の両面から成る。特に在家仏教の実態を知るにはこの両面を理解
する必要がある。この授業ではいかにも中国的な仏教の特色を示し始める紀元後5世紀頃(南斉と
梁)の南朝貴族仏教を理解するため,その代表的文献である南斉の蕭子良『浄住子』を取り上げ,
その内容を理解することを目指す。

武田時昌(協力講座・人文科学研究所 教授)易と老子の自然哲学

中国における科学思想の理論的特質や史的展開を総合的に研究しようとするならば、その理論的
基盤を明確にしておく必要がある。理論的基盤を提供したのは、易と老子の自然哲学である。儒家、
道家の経典としての成立過程や注釈史はこれまでの研究で大いに議論されているが、両書が自然探
究の学問や技芸にどのような思考ベクトル、認識パターンを提供したかについては、まだ検討の余
地が残されている。とりわけ、八卦の象数に投影させた数理思想、老子の長生論を発展させた養生
思想には独特の科学的思考がある。それらを理論的根底に据えて数学、天文学、医薬学といった自
然科学分野の理論化がなされ、同時に先秦方術、神仙養生思想から諸占術や養生術、身体技法が生
み出され、科学と易を核とする占術が複合した術数学が形成された。
そこで、中国的自然哲学の構造的把握を目的として、前期は「道(タオ)」「仙」という概念装
置によって思想文化に何がもたらされ、いかなる社会的作用を発揮したについて、多角的な考察を
試みる。
中国的自然哲学の構造的把握を目的として、後期は易卦の数理を構造的に把握し、易文
化の特色について、多角的な考察を試みる。

井上進(名古屋大学人文学研究科 教授)明代における出版動向と学術の変遷研究[前期・集中講義]

明代における学術の変遷を、書物事情、特に出版情況の動向を通じて跡づけ、時代の風気と学術
の関係を考察する。
なお本講義では、単に事柄の推移を概説するというのではなく、そうした推移を表現している文
献史料を紹介し、受講生とともにこれを読み進め、各時期の学術的、文化的風気を理解ないし感得
することをめざす。

◆演習◆

宇佐美文理(教授)国朝文録精読

古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。そのために『国
朝文録』を精読する。授業は、各文章毎に、学生諸氏に訳注を準備してもらい、授業時に参加者全
員で内容等について議論検討する、という形式を取る。出典に確実に当たることを重視し、本文の
文章や語句などすべての典拠、用例について、もとの書物(紙で出来た書物)を調べる作業を重視
する。今年は巻二十一の序跋の部分を読む。

池田恭哉(准教授)孫志祖『読書〈月坐〉録』

清・孫志祖『読書〈月坐〉録』を読む。孫志祖が関心を持ったテーマに対し、様々な角度から考察
した過程を、『読書〈月坐〉録』を精読することで追体験してもらう。多彩なテーマの考証を読む
ことは、古典読解能力を高めるとともに、その考証の手法を学ぶことをも可能にするであろう。

吉本 道雅(本研究科東洋史学専修教授)『春秋左伝正義』

十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。

古勝隆一(協力講座・人文科学研究所 准教授 )『荘子』郭象注を読む

『荘子』は道家思想の核心的な文献であるが、同書を理解するために欠かせないのが、西晋の郭象
が書いた注釈である。この授業では、『荘子』郭象注をなるべく厳密に読み解くことを目標とする。
ただ、『荘子』が難解であるのみならず、郭象の注も相当に難解である。テクストに正面から向か
い合い、正確な理解を目指すのはむろんだが、それをサポートする、書誌学的・校勘学的な知識も
あわせて習得することを目標としている。
前期は、逍遙遊篇を読むこととする。

中純夫(協力講座・京都府立大学文学部 教授)『朱子言論同異攷』講読

朝鮮の朱子学者韓元震(1682~1751)の主著『朱子言論同異攷』を読む。同書は「理気」「理」
「陰陽」「五行」「天地」等の項目ごとに朱熹の言論の異同を指摘し、その早晩の鑑別や「定論」
の判定を企図したものである。授業は輪読形式で行い、担当者が作成した訳注原稿を受講者全員で
検討する。受講者には各自、同書所引の朱熹語の原典に当たり、異同の持つ意味を整理した上で、
韓元震の所論の是非を批判的に検証することを要求する。

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2017年度の授業 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/history_of_chinese_philosophy/2017%e5%b9%b4%e5%ba%a6%e3%81%ae%e6%8e%88%e6%a5%ad-2/ Tue, 01 Aug 2017 06:49:08 +0000 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=31675 ◆講義◆

宇佐美文理(教授) 中国哲学史講義(Ⅰ)[前期]

中国哲学における「気」や「理」などの基本的諸概念の持つ意味を理解し、
中国文化に対する考察のみならず、人類の文化全体を考えるときの基礎的な知識として身につける。

宇佐美文理(教授) 中国哲学史講義(Ⅱ)[後期]

中国哲学史上の重要な書物について、その書物が学問全体においてもつ位置とその内容についての知識を深める。

◆特殊講義◆

宇佐美文理(教授) 中国文献学研究

中国の文献学について理解を深める。とりわけ清朝の文献学者が漢籍をどのように見ていたかを理解する。
黄丕烈の『士礼居蔵書題跋記』を読むと同時に、毎時間、文学研究科所蔵の漢籍を資料として用いながら解説することによって、
「モノ」としての漢籍についての知識と理解を深める。

武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 治身の自然学(1) 古代・中世[前期]

現代社会において、高齢化が問題視され、「アンチエイジング」という目新しい造語で、加齢による機能低下を改善し、老化を抑制するための医療が唱えられている。しかし、長寿のサイエンスと呼びうる学問的体系はまだ成立していない。老化のメカニズムが十分に解明できていないからである。東アジアの伝統社会において、長寿達成、延年益寿のための取り組みはきわめて盛んであった。長生をめぐる言説は、治身から治国へという国家論からスタートし、宋明理学や清末の政治思想に至るまで、様々な言説を生むとともに、多種多様な技法や医薬が開発された。それらは、東洋的な養生術、健康法として近代以降にも受け継がれ、一部はサブカルチャーとして定着しているが、医薬学研究の枠外に置かれたままであり、そこに発揮されているアイデアが十分に活用されているわけではない。そもそも健康とは多義的なものであり、それを維持しながら充実した人生を全うするには、多元的、複眼的なアプローチが必要である。そのような視座において長寿社会の健康学の実現を構想するならば、伝統医療文化とその周辺に学ぶべき叡智があるように思われる。そこで、治身の自然学の系譜と展開を辿り、そこに発揮された中国的長生思考の特色を探る。前期は、古代、中世を扱う。

武田時昌(協力講座・人文科学研究所教授) 治身の自然学(2) 近世・近代[後期]

現代社会において、高齢化が問題視され、「アンチエイジング」という目新しい造語で、加齢による機能低下を改善し、老化を抑制するための医療が唱えられている。しかし、長寿のサイエンスと呼びうる学問的体系はまだ成立していない。老化のメカニズムが十分に解明できていないからである。東アジアの伝統社会において、長寿達成、延年益寿のための取り組みはきわめて盛んであった。長生をめぐる言説は、治身から治国へという国家論からスタートし、宋明理学や清末の政治思想に至るまで、様々な言説を生むとともに、多種多様な技法や医薬が開発された。それらは、東洋的な養生術、健康法として近代以降にも受け継がれ、一部はサブカルチャーとして定着しているが、医薬学研究の枠外に置かれたままであり、そこに発揮されているアイデアが十分に活用されているわけではない。そもそも健康とは多義的なものであり、それを維持しながら充実した人生を全うするには、多元的、複眼的なアプローチが必要である。そのような視座において長寿社会の健康学の実現を構想するならば、伝統医療文化とその周辺に学ぶべき叡智があるように思われる。そこで、治身の自然学の系譜と展開を辿り、そこに発揮された中国的長生思考の特色を探る。後期は、近世と近代を扱う。

井波陵一(協力講座・人文科学研究所教授) 漢籍目録法[前期]

漢籍目録の作成要領を理解することを通じて、中国学の基本構造を把握する。

井波陵一(協力講座・人文科学研究所教授) 漢籍分類法[後期]

四部分類法を理解することを通じて、中国学の基礎構造を把握する。

船山徹(協力講座・人文科学研究所教授) 仏教漢語の解釈法:インドと中国の解釈の相違(1)[前期]

この授業は仏教語と呼ばれる用語のうち,誰もが知っているような基本的語彙を取り上げ,その語を中国仏教史ではどのように理解するかを学ぶ。資料は漢語(漢文)であり,訓読法で読む(現代中国語は使用しない)。中心的に扱う時代は六朝隋唐時代である。中国における解釈がインド仏教における解釈と同じか異なるかをも理解するため,漢語として残るインド仏教資料である漢訳仏典における同じ語の解説も紹介し,その相違から中国仏教の考え方と用語解説の特徴について考察する。読解するテキストは複数の文献に及ぶため,教員が準備し,それを初回以降,何回かに分けて配布する。

船山徹(協力講座・人文科学研究所教授) 仏教漢語の解釈法:インドと中国の解釈の相違(2)[後期]

この授業は仏教語と呼ばれる用語のうち,誰もが知っているような基本的語彙を取り上げ,その語を中国仏教史ではどのように理解するかを学ぶ。資料は漢語(漢文)であり,訓読法で読む(現代中国語は使用しない)。中心的に扱う時代は六朝隋唐時代である。中国における解釈がインド仏教における解釈と同じか異なるかをも理解するため,漢語として残るインド仏教資料である漢訳仏典における同じ語の解説も紹介し,その相違から中国仏教の考え方と用語解説の特徴について考察する。読解するテキストは複数の文献に及ぶため,教員が準備し,それを初回以降,何回かに分けて配布する。前期に学んだことを元に,後期には精読対象とする仏教語を変え,さらに理解を深める。

神塚淑子(名古屋大学 文学研究科 教授) 六朝隋唐道教の諸問題[前期・集中講義]

本講義では、六朝隋唐時代の道教の歴史を概観するとともに、その中で特に注目すべきいくつかの事柄を取り上げて、資料を紹介しながら説明する。道教は儒教・仏教とともに三教と呼ばれ、中国的思惟の一つの重要な部分を構成している。道教は文学・芸術・医学等の諸方面とも深く関わっており、道教の歴史とその思想を知ることは、中国思想文化の特質を知ることにつながる。また、道教の中には仏教から吸収した要素が少なからず含まれており、道教は中国における異文化受容のあり方を見る題材ともなる。
本講義では、これらの諸点に留意しながら話を進めていく。

◆演習◆

宇佐美文理(教授) 『日知録』精読

古典文献の講読を通して、漢文読解力を養うと共に、中国文化への理解を深める。
そのために顧炎武『日知録』を精読する。

吉本道雅(本研究科東洋史学専修教授) 『春秋左伝正義』

十三経注疏の一つである『春秋左伝正義』を精読する。漢文資料を文法的に正確に読解する能力を身につけるとともに、
経学(中国古典注釈学)の基礎的な方法論・春秋時代史の研究資料としての活用法を理解する。

中 純夫(京都府立大学 文学部 教授)『朱子言論同異攷』講読

朝鮮の朱子学者韓元震(1682~1751)の主著『朱子言論同異攷』を読む。同書は「理気」「理」 「陰陽」「五行」「天地」等の項目ごとに朱熹の言論の異同を指摘し、その早晩の鑑別や「定論」 の判定を企図したものである。授業は輪読形式で行い、担当者が作成した訳注原稿を受講者全員で 検討する。受講者には各自、同書所引の朱熹語の原典に当たり、異同の持つ意味を整理した上で、 韓元震の所論の是非を批判的に検証することを要求する。
テキストはソウル大学校奎章閣蔵『朱子言論同異攷』を使用する(プリント配布)。

古勝隆一(協力講座・人文科学研究所准教授) 清代学術著作会読

現代の漢学研究においては多様な方法論が提唱されているが、そのうちの重要なひとつとして、清代学術に淵源を持つ方法がある。清儒の伝統学術研究については多くの研究蓄積があるものの、それら先行研究を咀嚼して清儒の方法に迫るという道以外に、清儒たちの声そのものに耳を傾ける必要がある。この授業では、現代的な視点から、代表的な学者の著作を読むこととする。
単に清朝学術を研究する資料として著作をとらえるのみではなく、それらの読解を通じて、我々現代人が中国古典といかに向き合うべきかという問いを問うこととする。

◆講読◆

宇佐美文理(教授) 蘇東坡文講読

中国古典を読むための基礎知識を身に付け、漢文読解力の習得と向上を目的とする。
最初の数時間は、出典を調べながら漢文を読む作業がどのようなものなのか等について概説をし、
その後、唐宋八家文としても著名な蘇東坡の文章を選読する。

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「経学史研究的回顧与展望―林慶彰先生栄退紀念検討会」 https://www.bun.kyoto-u.ac.jp/history_of_chinese_philosophy/20150820/ Fri, 04 Sep 2015 05:15:37 +0000 http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/?p=26573 「経学史研究的回顧与展望―林慶彰先生栄退紀念検討会」が、中国哲学史研究室主催、北京大学礼学センターと京都大学教育研究振興財団の協賛のもと、2015年8月20日、21日の両日にわたって、京都大学文学研究科第三講義室において行われました。

参加者は、台湾から49名、中国大陸から31名、日本9名、香港8名、韓国2名、米国・イギリス・ドイツ各1名の総勢102名で、聴講した学生も含めれば115名という、経学史研究史上では、おそらく空前絶後の規模の国際会議となりました。

発表者は全部で87名(当日のスケジュールや発表の題目は、会議議程を参照)、8つのセクションを作って発表と討議を行いました。

本会議は、規模的なことは言うまでもなく、内容的にも非常に充実した会議となりました。これは世界の経学研究史において、おそらく永遠に記憶される、文字通り記念すべき会議となり、また、世界的に著名な林慶彰先生の退職を記念する会にふさわしいものになったと確信しています。

また、このような国際会議を、京都大学で開催したことは、京都大学文学研究科の、経学の分野における、創設以来の貢献がいかなるものであったかを示すとともに、今後、本研究科中国哲学史研究室が教育研究を進めて行くうえでも、極めて重要な学会となったものと思われます。

 

検討会集合写真会議風景1会議風景2

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