大正5年(1916)、京都帝国大学(現京都大学)の文学部東洋史講座の教授であった内藤湖南は、当時の清朝倒壊による文物の流出について、『美術画報』において次のように書き記しています。「かの義和団の乱の折には、清朝御府の名品が夥しく出たが、其の後の革命では御府のものや親王家其の他大官連のものが、続々として市場に出た」。そして、この文章に続けて「大抵は関西地方の好事家の手に納められて居る」とも述べています。2011年は、辛亥革命 (1911)からちょうど100年の節目に当たり、折しも、これら好事家たちの集めた中国書画を収蔵する関西の九つの美術館・博物館が一年強にわたって関係展示を次々に行う「関西中国書画コレクション展」が催されます。京都大学文学研究科では、この機会に合わせて「関西中国書画コレクションと京都大学」と題した市民講座を開催することになりました。湖南を始め、神田喜一郎や富岡謙蔵といった京大関係者、あるいは京都大学と密接なつながりを持った長尾雨山、羅振玉など、その収集に深く関わった人々の話題を中心に、関西のコレクションの成立とその豊富な内容を紹介します。中国美術に興味を持たれる諸氏のみならず、広く東洋文化に関心のある方の御来聴をお待ちしています。
▼講演:
「関西中国書画コレクションと京都学派」 曽布川 寛(京都大学名誉教授)
「上野コレクションと内藤湖南」 西上 実(京都国立博物館学芸部長、京都大学客員教授)
「内藤湖南の書画論」 宇佐美 文理(京都大学准教授)
▼日時:2011年1月29日(土) 13:30~16:30
▼会場:京都大学東京オフィス(JR品川駅前、品川インターシティA棟27階)
▼聴講無料・事前申込不要
*定員:100名
*満席の場合はその時点で受付を終了させていただきますのでご了承下さい。
▼主催:京都大学文学研究科
協力:関西中国書画コレクション研究会
▼問い合わせ先:京都大学文学研究科総務掛 TEL:075-753-2700