情報・史料学専修アドミッション・ポリシー

情報・史料学専修の admission policy  (2012年12月23日版)

  • 情報・史料学専修に所属を希望する学生・院生を選考する際の基本指針
    • 当専修は、その研究対象や研究方法が大変広い。そのため各学生・院生(以下、「メンバー」と書く)の基礎的学習項目が、それぞれで大きく異なる。また、林が専修案内などで提案している研究テーマには、前例がないものも相当数ある。このため入学試験・分属などでの選考に際しては、自らが道を拓くという気概、高い独立心と、そして、それを支える自立の能力を最も重視する。
    • そういう研究を行うには、多くの文献や資料を徹底的に読み込み、また、発掘してくるための、語学力 、批判的推論能力、 読解力、調査力、IT能力などの「基礎体力」が必要である。これらの能力を身につけ発揮できる資質を備えていること、また身につけようとする強い意志と願望を持つものを求める。
    • 文系・理系を問わない学際的な研究方向を目指し、また、研究テーマが広い場合、ややもすると「基本」の軽視が起きる。当専修では、この傾向を強く排除する。研究・学習は徹底的で、保守的なまでに慎重に進めることを求める。そういう慎重な研究により、従来の常識を覆すような成果を出すことを目指す。これは手間のかかる難しいことであるので、それに耐えられる知的タフさを資質として重要視する。
  • 研究分野が広いため専門科目の試験は傾向を過去問で見るのはあまり意味がない。受験者の希望する研究分野に合わせて出題する傾向が強い。
  • 修士課程入試、博士課程後期編入試科目で、最も重視するのは、卒業論文・修士論文、あるいはそれに代わるもの、そして、研究の目的と意欲である。研究者としての潜在能力が最もよく現れるのは長文の論文であるというのが当専修の見解なので、将来性を前者の論文あるいはそれに代わるものでみる。したがって、卒論や修士論文と研究内容を大きく変えたい場合は、募集要項で指示されているように、卒論・修士論文に代わるものも提出しなければならない。また、現在の能力以上に重要なのが、何をしに院に入るのかのモチベーションと予定する研究内容である。これは口頭試問(面接)で見ることになる。
  • 修士課程入試、博士課程後期編入試の提出論文について
    • 修士課程入試、博士課程後期編入試では、提出論文が日本語で書かれていない場合には、「同内容の日本文の論文」を提出する旨、募集要項に定められている。当専修での「同内容」の基準は、次の二条件である。(1) 原論文と同じ章と節を持つこと、(2)それぞれの章・節の内容が的確に翻訳あるいは要約されていること。また、長さは原論文の長さにもよるが、概ね15-20頁程度を想定している。ただし、これについては、卒業論文、修士論文の基準が各大学、各国で大きく違うことを考慮して、受験生それぞれに対応して決めるので事前に連絡をして相談することを強く求める。事前の相談がない場合には、的確な判断ができないために受験生の不利益となる可能性があるので十分注意して欲しい。
    • また、募集要項で、論文には日本文四千字程度の要旨をつけることが支持されている。これは要旨であるので上記の条件を満たしている必要はない。募集要項の条件だけを満たせば良い。
  • 博士課程後期編入試の実施科目
    • 博士課程後期編入の実施科目は次の通り
      • 以下の説明における「第一言語」は学歴・経歴、提出論文の言語で判断するが、受験生の個別事情は考慮するので、必要ならば事前に申し出て欲しい。 また、自分がどちらに分類されるかがわからない場合も、林に問い合わせること。
      • 日本語を第一言語とする受験生
        • 一次試験
          • 当専修における最重要関係外国語である英語の試験と専修に属する専門科目の試験を、上に説明したように、受験生の専門ごとに出題・実施する。
          • 試験科目:
            • 外国語:専門・研究予定テーマなどに関わる英文の和訳
            • 専門科目と外国語:専門・研究予定テーマなどに関わる英文問題による専門的能力の試験。解答も英文とする。
        • 二次試験
          • 第二言語の試験:独・仏の内から受験生が選択した第二言語の文の和訳。
          • 提出論文をもととする口頭試問。(使用言語は日本語)
      • 日本語以外を第一言語とする受験生
        • 一次試験
          • 日本語と英語の試験と専修に属する専門科目の試験を、上に説明したように、受験生の専門ごとに出題・実施する。
          • 試験科目:
            • 日本語と英語:専門・研究予定テーマなどに関わる和文の英訳。
              • 受験生の第一言語にかかわらず日本語とともに専修の共通言語である英文により解答しなければならない。
            • 専門科目と日本語:専門・研究予定テーマなどに関わる和文問題による専門的能力の試験。解答は和文とする。
        • 二次試験
          • 第二外国語の試験:独・仏語の内から受験生の第一言語を除く言語の文の和訳あるいは英訳。独・仏語とも第一言語でない場合は事前に受験生が選択する。
            • 解答用の言語の選択は解答の際に行ってもらうが、必ず和文・英文のどちらか一方を選択しなければならない。
          • 提出論文をもととする口頭試問。(使用言語は日本語)
  • 学士入試で合格したものは3回生としての扱いを受けるので、英語・第2外国語の能力が学部の一般入試で入学した京大文学部3回生以上であることが選考の一つの条件となる。京大文学部の外国語教育のレベルは他に見られないほど高いので、特に英語は京大学部一般入試の文系用英語の問題を一般入試合格者の最低レベルより相当に高いことが望まれる。その程度のレベルでないと文学部の講義や演習についていくことは不可能なので、それに満たないと判断したものは不合格としている。受験する場合は、自分がこの条件を満たしているか注意して欲しい。(京大文系以外からの受験者の場合は、京大文系英語入試の過去問を解いてみれば、条件をある程度確認できるだろう。)
  • 情報・史料学専修以外からの受験の場合は、受験前のなるべく早い時期に林とコンタクトを取り、研究したいことが入学後研究できるものであるかどうかを確認してほしい。これは入試の一部としての義務ではない。しかし、提出論文や予定する研究テーマの評価項目には、当専修の研究テーマへの適合度が入っており、また、この項目は採点の最重要項目の一つである。そのため、当該分野の見地からは優れた論文であっても、研究テーマが合致しないという理由により、評価が大幅に低くなることもある。ただし、林の研究は常に流動・進化しており、既存発表業績と関連しない分野でも、専修の研究テーマに合致すると判断することがあるので、受験を志したら、まず、林にコンタクトをとることが重要である。林への最初のコンタクトは電子メールで行うことが望ましい。突然の電話・来訪の場合は対応しないことがある。