2010年度の授業

日本哲学史研究室ホーム

講  義

教官 藤田正勝 種別 講義 学部(2回生可)
曜日・時限 火・3 教室 総合研究2号館 第9講義室
題目 日本哲学史講義
概要・目的 日本哲学史研究の意義について考察するとともに、日本哲学史上論じられてきた主要問題について概観し、検討を加える。
内容 最初に総論として日本哲学史研究の意義および方法について考察する。その後、各論と して言葉、経験、自己、他者、身体、技術、美、死等の哲学上の諸問題を取りあげ、西田幾多郎や田辺元、九鬼周造、和辻哲郎、三木清、西谷啓治らの思想を手 がかりに、哲学的・哲学史的に考察する。
テキスト・参考文献 藤田正勝『西田幾多郎――生きることと哲学』(岩波新書)
藤田正勝編『日本近代思想を学ぶ人のために』(世界思想社)

特殊講義

教官 藤田正勝 種別 特殊講義 学部・大学院
曜日・時限 月・4 教室 総合研究2号館 第9講義室
題目 田辺元の哲学
概要・目的 日本の代表的な哲学者の一人である田辺元の哲学を取りあげ、その形成過程をたどるとともに、その哲学史上の意義、および現代的な意義について考察する。
内容 田辺元の前期から中期にかけての思想形成のプロセスを明らかにしたい。カント・ヘー ゲルの哲学の受容とそれに対する批判、それ通して形成されていった「絶対弁証法」の立場、その過程でなされた西田幾多郎の哲学に対する批判、さらにはそれ を踏まえて構築された「種の論理」について、そのプロセス、内容、意義について明らかにすることを試みる。
テキスト・参考文献 『田辺元全集』(筑摩書房)
教官 小浜善信 種別 特殊講義 学部・大学院
曜日・時限 金・5 教室 総合研究2号館 第10演習室
題目 西田幾多郎と九鬼周造の哲学
概要・目的 前半は後期西田幾多郎の哲学について、とくに空間論/身体論を中心に、後半は九鬼周造の哲学について、とくに時間論/偶然論を中心に講義する。西洋哲学との対比を意識して西田、九鬼の思想の独自性を明らかにし、日本哲学の展開の可能性について考えたい。
内容 1~15回:『無の自覚的限定』あたりを境にして西田哲学に一種の 「転回」があったと思われる。時間の哲学から空間の哲学への、意識 の哲学から身体の哲学への転回である。このことを、とくにプロティ ノスやベルクソンの哲学との対比などを通して考えてみたい。
16~30回:九鬼の論考「形而上学的時間」は仏教の「劫波」思想 の論理的解明を目指したものであるが、結果として、ピュタゴラス派 の輪廻思想、プラトンの「完全年」、ストア派の永遠回帰説、そして ニーチェの永遠回帰の思想に論理的な根拠付けを与えることになった 論考として読むことができる。この時間論が九鬼のもう一つの中心思 想である「原始偶然」と深いところで結びついていることをあきらか にしたいと考えている。
テキスト・参考文献 藤田正勝『西田幾多郎』(岩波書店)、渡邊二郎編『現代の哲学』 (昭和堂)、
小浜善信『九鬼周造の哲学-漂泊の魂-』(昭和堂)ほか
教官 林 晋 種別 特殊講義 学部・大学院
曜日・時限 金・2 教室 文学部新館 第2講義室
題目 田辺元を読む
概要・目的 哲学者田辺元の思想を手稿・日記などの一次資料などを通して読み解く.主に種の論理の時代に焦点を当てるが,「懺悔道」など後期宗教哲学へ至る時代の資料も時間が許す限り扱う.思想系の出席者には「史料分析手法入門」となることも意識して授業を進める.
内容 授業は講義のフェーズ(10回)と,それに基づいて史料を読む演 習のフェーズに分かれる.まず講義を行い下の講義項目を説明し,そ の準備のもとで田辺文庫貴重書を用いた演習を行う.その際に史料の 読み方を指導することにも重点を置く.ただし,出席者の知識や能力 に応じて,講義と演習の比重は変化する.また,必要に応じて,講義 フェーズと演習フェーズを期間的に混ぜることもある.
講義項目:1.田辺哲学とその変遷,2.『数理哲学』としての田辺 哲学:新カント派マールブルグ学派の『数理哲学』の観点から,3. 「大陸哲学・分析哲学乖離の時代(Michael Friedman)」と田辺,4. ブラウワーの直観主義数学実数論の「種の論理」成立への影響,5. 田辺元の文書資料の概要.
テキスト・参考文献 配布する電子文書.
A Parting of the Ways: Carnap, Cassirer, and Heidegger, byMichael Friedman, 2000, Open Court.
その他 手稿分析などに史料分析用ソフトウェアSMART-GSを多用する.講義参 加者用のノートPCを数台用意しているが,自習などを考慮し自分の PCを持ってくるとよい.

演  習

教官 井上克人 種別 演習 学部・大学院
曜日・時限 木・2 教室 文学部新館 第3演習室
題目 日本哲学の特質―無の体用論としての場所的論理」
概要・目的 明治期の哲学が日本および東洋独自の哲学として提唱した「現象即実 在論」は、東京大学で開講された「仏書講義」のテクスト『大乗起信 論』に基づく。そこに展開されている体用の論理を踏まえ、その系譜 を引く京都学派の哲学、特に「場所の論理」がもつ特質を追究する。
内容 【前期】
『大乗起信論』を東洋哲学の共時論的構造化のためのテクストとして解釈した、井筒俊彦の『意識の形而上学―『大乗起信論』の哲学』を中心に解読する。また同じく同著者の『意識と本質』も参考にしつつ、東洋哲学の論理を明らかにする。
【後期】
西田哲学における「場所的論理」を念頭におきながら、西田が自身の場所論理のmetaphysicalなるに対して、そのlogical formを明らかにしたとして絶賛したとされる務台理作『場所の論理学』をテクストに選び、東洋的思惟の特質とされる「自己同一の原理」がどのような構造 をもっているかを解明する。
テキスト・参考文献 井筒俊彦『意識の形而上学―『大乗起信論』の哲学』(中公文庫)
務台理作『場所の論理学』(こぶし文庫)
その他 毎時間、その日の担当者を決めて、テクストの内容に沿った発表をし てもらい、そのあと、出席者間で議論をしていく。レジュメの用意が 必要である。なお、翌週の授業の初めに、必ずプロトコールを行った 上で、授業をすすめていきたい。
教官 芦名定道 種別 演習 学部・大学院
曜日・時限 水・4 教室 新館 第3演習室
題目 日本・アジアのキリスト教──波多野精一(3)──
概要・目的 波多野精一は近代日本を代表するキリスト教思想家であるが、この演 習では、『宗教哲学』(1935年)を精読することを通して、波多野の 宗教思想についての理解を深め、キリスト教的宗教哲学の可能性につ いて考える。
内容 日本・アジアのキリスト教の歴史を振り返りつつ、その新しい思想的 可能性を探ることは、日本におけるキリスト教思想研究にとって重要 な意味を有している。本年度は、昨年度(『宗教哲学序論』)に引き 続き、波多野精一の宗教思想を取り上げる。波多野宗教哲学の内容に 関わる文献、つまり、波多野宗教哲学三部作の内、『宗教哲学』 (1935年)に取り組むことが演習の目標になる。本年度は、トレル チ、ティリッヒ、ヒックらの宗教哲学と比較対照することによって、 波多野の宗教哲学を、20世紀のキリスト教思想の文脈に位置づけるこ とを試みたい。授業では、日本キリスト教思想において波多野に関連 した諸問題、あるいは波多野についての諸研究についても、留意しつ つ、テキストの厳密な読解が試みられる。
テキスト・参考文献 テキストはコピーして配付する(岩波『波多野精一全集』第四巻)
教官 林 晋 種別 情報技術演習I 学部(2回生可)
曜日・時限 前期 木・2 教室 情報処理端末室
題目 人文学研究のための情報技術入門
概要・目的 IT技術の普及以後、史学・古典学などでの文献/資料研究の方法が大 きく変り始めている.本演習ではOPAC, デジタル・ライブラリなどに よるWEB上情報収集技術から始めIT技術を文献研究に活用するため の方法を実戦的に学ぶ.
内容 OPAC, 電子アーカイブ(ライブラリ), Wikipedia などによるWEB上情 報収集の技術から始め,デジカメ,スキャナ等を利用しての文献資料 の収集・整理の方法.そして,論文,Blog などの「作品」にまとめて 発表するまでの方法を,実際の作業を通して学ぶ. 基本を学んだ後, 個人あるいはグループで研究テーマを決め,それについての「作品」 を完成することを目標とする.
「作品」は,Blog, Web page, レポー ト・論文のような文書,情報・史料学専修で開発している歴史文献研 究用のソフトウェア SMART-GS の文書,のいずれかの形で作成しても らう. なるべく各自の能力・知識に配慮した個別指導を行う.たとえ ば,IT技術を既にある程度身につけている中・上級者には, 希望に より個別にプログラミングの指導を行う.
なお本演習は、ITの入門コースではない。ワープロの操作など、コンピュータの最低限の操作はできるものとして演習を進める。
テキスト・参考文献 なし
教官 藤田正勝 種別 卒論演習 学部
曜日・時限 隔金・3‐4 教室 日本哲学史研究室
題目 卒論演習
概要・目的 卒業論文の作成に向けて、その準備を行う。
内容 卒業論文の作成に必要な事項について学ぶとともに、参加者の発表 をもとに日本哲学史上の諸問題について議論し、卒業論文作成の準備 を行う。日本哲学史専修4回生以上は必修。
教官 藤田正勝 種別 演習II 大学院
曜日・時限 隔金・3‐4 教室 日本哲学史研究室
題目 日本哲学史の諸問題
内容 参加者が各自研究するテーマについて発表を行い、それに基づいて討議を行う。日本哲学史専修大学院生は必修。

講  読

教官 水野友晴 種別 講読 学部(2回生可)
曜日・時限 木・4 教室 総合研究2号館 第9講義室
題目 『善の研究』講読
概要・目的 『善の研究』に代表される初期西田哲学のテキスト群は、西田哲学の みならず近代日本哲学全体の土台をなしているといっても過言ではな い。それらにどのような由来と可能性があるのかを見ることを通し て、日本哲学の基礎的教養を身につけることをめざす。
内容 本講読では『善の研究』を章単位で読み進めてゆくことにする。あらかじめ設定した課題に基づいて参加者が発表を行い、発表後、講評やディスカッションを通じて『善の研究』の背景と思想的意義、さらには発展の可能性などについて考究してゆくことにしたい。
参考文献 『善の研究』(岩波文庫)。その他の資料は授業中に配布する。

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